企画を出版社に持ち込んで断られるのは、よくある話です。もちろん、私も、お断りされたことは何度もあります。たいていは出版社の方向性と作品のマッチングの問題なので、理由を伺うと納得するものです。ただ、時には、思いがけない理由でお断りをされることがあります。編集者さんからの丁重なメールに、こんな文言が……。

「小社は非常に零細な会社でございまして、寺田さまのようなご高名な方にお仕事をご依頼し、十分なご印税をお支払いすることがかないません」

「えっ!? 私、いつの間にそんなお偉い先生に!?」と、一瞬勘違いしそうになりました。いや、そんな巨額の印税をもらった覚えはないんですが……(笑)

実績がなくて断られるならまだしも、実績があるために断られるとは、想定外でした……。

一般的に、キャリアを積むと値段が高くなるものですし、それがネックになって依頼が来なくなることはあります。わかりやすいのはタレントをCMに起用する例でしょうか。有名タレントを起用したくても予算が足りないので、そこそこのギャラで済む若手タレントを起用する。そうしているうちに「この人、よく見かけるね」ということで認知度が上がってギャラも上がってしまう。そうすると今度はその若手タレントへの依頼が減ってしまう、というパターンです。