ーーそういった内容の私小説を読んでみたい気もします。

岩永 実は、代官山ブックスさんの『売れてない芸人(金の卵)シリーズ』という電子書籍のオファーを頂いているんです。幼少期を思い出そうと、閉ざしていた記憶の蓋を開けてみたら、母以外も家庭環境がまぁまぁ劣悪なんですよ。

とみやん 20年ぶりの再会がちょっと霞むレベルだよね。

岩永 まず、おじいちゃんは幼い僕からお金を盗むんです。何度財布の隠し場所を変えても必ず見つけて盗む。『おじいちゃん、僕のお金盗らないで』ってお願いすると『家族だろ!』って意味わからない理屈で押し切ってくるんです。おばあちゃんは単純に僕のことが嫌いで、顔を合わすたびに『お前は死んだ魚の目をしている』とか酷いことを言ってくるんですよ。それが幼い僕には本当に辛くて……。

とみやん 聞いてられないよ、もう!

岩永 あと、ひいおばあちゃんは、地元でも有名なゴミ屋敷に住んでるんです。自分ではゴミと認識していないみたいで、うちに来るときにお土産として腐った外国のゴミを持ってくるんですよ。当然、身体中汚れまくってるので、座った後は畳が真っ黒になる。近所に大きなスーパーがあったんですけど、『あれ、なんか臭うな』と思ったら、どこかのフロアにうちのひいおばあちゃんがいるんですよ。臭いが大きくなると近付いてるのがわかる。同級生からは『お前のひいばあちゃんは覇気を持ってる』ってからかわれました。

とみやん 『ONE PIECE』のキャラじゃないんだよ!

岩永 高校時代は昼飯代をもらえないので、自分で米だけ炊いて友達からおかずをもらってやりすごしてました。めちゃくちゃ貧乏だったんです。あとから聞いたんですけど、おばあちゃんの浪費癖がすごくて、全部使い込んでたみたいなんですよ。

とみやん ちょっと待って。わかんなくなってきた。ひいおばあちゃんがゴミ屋敷で、おばあちゃんが浪費癖?

岩永 ひいおばあちゃんがゴミ屋敷で、おばあちゃんがゴミ。

とみや すごい言い様だな(笑)。でも聞けば聞くほど劣悪な家庭環境なんで、よくグレなかったな、偉いなって思います。

岩永 ずっとラジオが好きで聞いていたので、そのおかげかもしれないですね。