ルカ監督にとっては、男たちの愛の世界を描いた『君の名前で僕を呼んで』、カルト的ホラー映画を1970年代ヨーロッパの不穏な社会情勢を背景にしてリブートした『サスペリア』(18)との延長線上にある作品だと言えるだろう。

 R18指定となった本作を配給のワーナー・ブラザーズ映画は「純愛ホラー」と謳っているが、純然なホラー映画にも恋愛映画にもカテゴライズされるものではなく、生きづらさを抱えた若者たちの血まみれの青春映画といった趣きが強い。

 人を食べなくては生きていけないという重い業を背負う主人公たちを、ルカ監督は社会的マイノリティーとして捉え、彼らが懸命に生き抜こうとする姿を描いている。社会派ドラマならぬ、社会派ホラーとして見応えのある作品だ。