だが、『夕暮れに、手をつなぐ』では、実力派の広瀬とほぼ同列な扱いにもかかわらず、演技力へのネガティブな声はあまり見られないどころか、「ハマリ役」との声も目立つ。すっかり「演技力不足」のイメージを払拭できたようだ。

 永瀬の演技力が上がった可能性もあるが、それよりも同作のゆったりとした空気感やオシャレな作風に、彼の芝居が合っていたことが大きいのではないだろうか。

 なお、脚本を手掛ける北川悦吏子氏は、制作にあたって「広瀬すずさんと永瀬廉くん。ずっと書きたかったおふたりです。完全なる、あっと驚く当て書きをしておりますので、お楽しみに」とコメントを寄せている。『新・信長公記』での評価が微妙だった永瀬にとっては、北川氏の“当て書き”に救われたともいえそうだ。

 5月には、所属するKing&Princeから平野紫耀ら3人のメンバーが抜け、その後、高橋海人との2人体制で活動していく予定の永瀬。今後は音楽活動よりも俳優業に注力するのではないかといううわさもある様子。『夕暮れに、手をつなぐ』で株を上げたことは、タイミング的にもラッキーといえるかもしれない。