◆ディーン・フジオカの“現在地点”

 本作はディーン・フジオカの現在地点を指し示していると思う。その意味でも第2話は象徴的だった。

 産まれてすぐに病院に置き去りにされた子どもを見て深夜は胸を痛める。彼がここまで感情を高ぶらせてしまうのは、出産時に妻と子どもをどちらも失った過去を持つからだ。医師である以上は主観的な感情は押し込めておかなければならないが、深夜の背中はすごく人間味があって視聴者に何かを訴えているように感じる。

 柊一星(北村匠海)が働く「遺品整理のポラリス」の社長・北斗千明(水野美紀)は、実は深夜とは高校時代の同級生。ふたりが会話する第2話のラスト、産婦人科医になる前は、都庁でばりばり働いていたという深夜の現在の姿を見た千明は、「最近背中が丸いよ」と言う。確かに外で昼食を取る深夜の背中は心なしかもの悲しげで丸い。

 ディーン・フジオカ、42歳。深夜のこの丸い背中には、ディーンの“現在地点”が丸め込まれている気がした。第3話では酔ってしまい、つまづいてもいないのに素っ頓狂な動きですっ転んでしまったり。かと思えば二枚目な顔を時折見せたりする瞬間もある。二枚目だろうが三枚目だろうがお構いなしなのが、現在のおディーン様なのだろう。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu