◆二枚目と三枚目のすれすれ

 手術中はうまく指示通りに動けず、看護師たちには半ば呆れられて怒られてばかりの深夜だが、産まれてきた赤ちゃんを前にカチコチの変顔をやったりする不器用だけれど、律儀な性格には好感が持てる。

 休憩室で院長の麻呂川三平(光石研)に励まされると、新しい命が誕生することの奇跡と感動についていきなり演説口調で話しはじめてしまう。話し終えて、思わず息が上がってしまっていた自分にあっと反省の表情を見せたりするあたり、ディーンの低音ボイスでひと息に流れるからよりコミカルに映る。

 一応はイケメン新米医者で通っているらしく、このクールな低音ボイスだし、二枚目ではないけれど、三枚目ともいいきれない。二枚目と三枚目のすれすれのところでの演技。単にクール、単にコミカルとは表現できない微妙な細やかさがディーンの真骨頂といえそうだ。