◆お笑い偏差値が高い根っからのコメディアン
民放連ドラ初主演となった『今からあなたを脅迫します』(日本テレビ系、2017年)では、ギャグを連発する三枚目キャラが新鮮だったが、筆者は常々この人はコメディが絶対に合うタイプの俳優だと思っていた。もちろん『シャーロック』などのクールな演技は超絶品だとして、根本的にはお笑いの素質を持っているのではないかと。
というのも、主演映画『Pure Japanese』(2022年)で筆者がディーンに取材をしたとき、彼の笑いに対する感性がエキセントリックに感じたからだ。大抵の場合、笑いは多くの人の笑いを同時に誘うものだが、ディーンさんの場合、人が笑わないところでむしろひとりだけ大爆笑する。しかもそれがものすごい声量でワイルド。この笑いのズレこそ、実はほんとうのお笑いの感覚な気がする。
ひとり大爆笑のあとには表情を変えてピタリとクールな佇まいに戻るのも面白かった記憶があり、独特な笑いのセンスを持った人だなと思った。『星降る夜に』の冒頭場面でおしっこをかぶろうがどうしようが驚くなかれ。我らがディーン・フジオカは、実は、お笑い偏差値が高い根っからのコメディアンなのだから。