厚生労働省によると、アトピー性皮膚炎の推定患者数は約51万人と見られているが、日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018」では、生後4カ月から6歳では12%前後、20~30歳代で9%前後の頻度で認めることが明らかとなっており、実際のアトピー性皮膚炎患者数は数百万人に至ると考えられるとしている。

 発表によると、富山大学ではヒトのアトピー性皮膚炎に非常によく似た病態(顔面に皮膚炎と強いかゆみ反応を示す)モデルマウス(FADSマウス)を開発しており、さらに、痛みやかゆみの神経機能を解析する技術を持っていた。

 一方、佐賀大学では、皮下線維芽細胞で過剰産生された「ペリオスチン」という物質がアトピー性皮膚炎発症に重要な役割を担っていることを発見している。このペリオスチンは、正常組織や腫瘍間質中の線維芽細胞によって発現される細胞外マトリックスの構成要素。

 そこで、両者はアトピー性皮膚炎のかゆみ発症の原因と、その治療薬の発見で共同研究を開始した。