◆面白がった野次馬たちに写真を拡散されて

フォロワー数も決して多いとは言えないミユキさんとマリさんだったが、いつしか写真が一部で拡散され、おもしろがる野次馬もいたようだ。「妻と愛人が闘ってる」と書かれたこともある。ミユキさんはアカウントを削除、いっさい関わらないことにしたが、マリさんは夫の顔写真も数時間だけさらしたという。

「どうするのよと夫に迫ったら、『こっちは会社で問題になってる。きみがマリに応戦するからだ』と言われて。そもそも不倫したのはあなたでしょと大ゲンカになりました。さらにマリは以前にも既婚男性とつきあっていたらしく、それも匿名の誰かが話題にしていたようです。なんだかあのころは怒濤(どとう)の日々で、どうやって過ごしていたのかよく覚えていないくらいです」

結局、いちばん割りを食ったのは夫だった。もちろん不倫していたのは夫なので、自業自得ではある。だが、夫の落ち込みぶりは見ていてつらくなるほどだった。

「夫は会社を辞めて家にこもりました。精神的に落ち込んでいるのはよくわかった。でも私は私で傷ついていたから、夫を慰めることなんてできなかった」

◆「愛情のない夫婦は別れるべき。それが正しいでしょ」

世間的には大ごとにはならなかったが、夫もミユキさんも友人たちに浮気を知られ、さらにマリさんには「つまらない女だから浮気されるのよ」とSNS上で嘲笑(ちょうしょう)されたという。マリさんはその後、SNSをぷっつりとやめてしまった。言いたいことだけ言い、さらしたいことをさらして逃げてしまったのだ。

窓辺でスマートフォンを操作する女性
ミユキさんは弁護士を立てて、せめて不倫による慰謝料を請求しようとしたが、マリさんの行方がわからなくなっていた。

「他の異性と浮気するような愛情のない夫婦は別れるべき。それが正しいでしょ」と書いていたマリさんの言葉が忘れられないとミユキさんは言う。偏った“正義”によってミユキさんは傷ついた。