馬場ふみか演じる専業主婦が、モラハラ夫(野村周平)を社会的に抹殺しようと計画するドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(テレビ東京系、火曜深夜0時30分~)。話題のドラマを、夫婦関係について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます(以下、亀山さんの寄稿)。

◆暴走する正義感はブーメランになるのか

ドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』の第5話は、今の時代を忠実に映しており、ハッとさせられる内容だった。

夫の大輔(野村周平)に着々と復讐を進めていく妻の茜(馬場ふみか)。かつての夫のいじめ動画をアップしたことで、心酔していたYouTuberからフォローされて「正義を貫くこと」の快感に酔っていく。そして、夫にいじめられていた当事者から連絡があり、意気揚々と会いに行くと、彼は「誰にも迷惑をかけていないのに、息をひそめて生きてきたのに、あの動画で当時の気持ちを思い出す」とつらそうに語る。当事者の顔はさらされているので、彼は再び傷つけられていたのだ。動画を消してほしいと言われてその場で消すが、すでに拡散されており、デジタルタトゥーとして残ってしまう。

気づいたときには、茜自身の顔も夫の実名とともにネット上にさらされており、さらに心酔していたYouTuberが自宅から転落して死亡というニュースが世間をにぎわせる。

誰のための正義なのか、正義を訴える人の目的はどこにあるべきなのか。自分の傷を癒やすために人の傷をさらしていいのか。茜は正念場に立たされるようだ。