今回の会長交代で、またNHKが“前時代”に逆戻りするだろうと悲観する声も聞こえてくる。

「前田元会長は、番組作りに関して有能なプロデューサーを的確なポジションにつけていた。細かいところまでは前田氏の指示ではありませんでしたが、新しい番組を作って視聴者に評価してもらうという基準を設けていたんです。結果として、元SMAPのメンバーからなる新しい地図の番組『ワルイコあつまれ』をレギュラー化するなど、攻めた展開も行った。ただ、今回の会長交代で、そういった革新的な番組作りは難しくなるかもしれないと言われている」(民放関係者)

 そもそも、民放各局よりも安定した高収入が得られることで就職人気の高いNHK。どの社員も、改革派の流れに乗りたいと思っているわけではないという。

「プロデューサーなどのクリエイティブ職も含め、職員には事なかれ主義が多い。広報も、タレント事務所の言いなりばかりで民放局からくらべて宣伝がヘタなことで有名です。前田氏のおかげで少しはやる気のある人材が登用されましたが、会長人事でまた昔のつまらないNHKの体制に逆戻りする可能性が高い。この流れを悲観して、意欲の高いスタッフの中には、ネット配信会社に転職しようとする者もいるようです」(同上)