◆意識してザツにわたしてしまった

「お礼に、ホワイトデーには私が前から行ってみたかった高級中華に連れていってくれるというので、それならと手を打ったんです。だったらチョコの一個ぐらいお安い御用ですよ(笑)」

「じゃあどうせならS悟さんの喜びそうなチョコを選ぼう」と思った玲子さんはリサーチのため、ひんぱんにLINEでコミニュケーションをとるようになりました。

「甘い物は得意なのかとか、チョコの見た目は可愛い方が嬉しいのか、それともクールなのが好みなのかなどいっぱい質問しました。そうしているうちに、S悟さんが意外と自炊をしていることや、歳の離れた弟を溺愛(できあい)していることなど、プライベートな面をさらけ出してくれるようになったので、とても話しやすくなったんですよね」

スマホを見て笑う女性
そうやってS悟さんのことを考える時間が増えていった玲子さんは、少しずつ恋心が芽生えてきたそう。

「ですが照れ臭くて何にも言い出せないままバレンタインの日を迎えてしまいました。結局チョコレートを選ぶ余裕もなく、無難(ぶなん)にGODIVAの3千円ぐらいのものを買ってなんでもない風をよそおって、雑(ざつ)な感じで渡してしまいました」

実は玲子さんは、昔から男性を好きになると意識し過ぎてしまい、つい不自然な態度をとってしまって数々の失敗をしてきました。

「私の方こそ中学生の時のまま成長していなくて、情けないなと落ち込みました。S悟さんを好きだと気づいてから、自分の方からLINEもできなくなってしまったんです」