昨年公開された、新海監督の新作映画『すずめの戸締り』は大ヒットを記録し、11月の封切りから現在までも、公開している映画館があるほど。

 そんな新海監督の名を世に知らしめた作品といえば『君の名は。』ですね。この映画は、企画という目線で見た時にも非常に面白い作品なので本コラムで書いてみたいと思いました。

 この作品の1番の企画性は「男女が入れ替わる」ところ。読者のみなさんも認識されていると思いますが、人間の中身が入れ替わるマンガ・アニメは『君の名は。』以前にもいくつもありました。『君の名は。』が秀逸だったのは「男女が“時空を超えて”入れ替わっているところ」です。

 主人公の三葉と瀧は3年の時間軸のズレがあり、瀧は3年前の過去に、三葉は3年後の未来に入れ替わっています。この時間軸のズレがこの作品のドラマ性を作り上げていました。物語後半、瀧は三葉と入れ替わった際、彗星の落下によって3年前に命を失ってしまった三葉を救うために、奮闘するわけです。つまり、『君の名は。』は、過去に行って未来を変えようとする『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の要素も入っているわけです。