◆期待値MAXでのかぶりつきにも、見事に応えた堀田真由
堀田は、家光こと千恵の少女期からの成長や、男女逆転大奥の最初の将軍となる重要なキャラクターとして、さまざまに異なる衣裳や髪形を替え身にまといながら、非常に豊かな芝居を見せてくれたが、やはり声も素晴らしかった。
第4話では、捨蔵との子を宿すように言われて、怒りつつもそれを飲み、有功に「きっとわしは子を孕めまい。わしと一緒に死んでくれるか」と、涙ながらに思いを絞り出す姿にはじまり、捨蔵や溝口(押田岳)を見下ろしながら「そなたにわしが抱かれるのではない。そなたをわしが抱くのじゃ」と静かに放ったかと思うと、やがて子を産むと、穏やかさや強さを見せ始めた。
そして周囲へも目を向けられるようになり、政治を司り始めて「この国が滅ぶならば、見届けるまで」と歴然と言い放つ。まさにリーダーたる姿(声)だった。何より、最大の見せ場である、ラストでの女将軍家光として「わしは父の名代、将軍という名の人柱である」との宣言から続く場面は、期待値MAXでかぶりついたこちらを充足感で黙らせる力強さに満ちた声であった。