◆「第73回NHK紅白歌合戦」の記憶
2022年末の「第73回NHK紅白歌合戦」は筆者にとって記憶に残る放送年となった。理由は大きくふたつある。まずひとつはSNS上で「違う、そうじゃない」が話題沸騰の鈴木雅之や、慎ましい伴奏を披露した小室哲哉のなど、レジェンダリー・ミュージシャンたちが会場を大いに盛り上げたこと。特に玉置浩二率いる「安全地帯」の勇姿には目頭を熱くした(「B’z」のサポートメンバーとしておなじみのキーボーディスト、川村ケンさんが大きな両の手を振る神々しさ!)。
そしてふたつ目。「EXILE」を頭領とするLDH所属グループがひとつも出場しなかったことだ。ダンス&ヴォーカルの盤石な体制によって画面の奥からむあっと熱気を送り込んでくれるLDHアーティストが映らないと、なんだか肩透かしを食らうというのか、肌感覚として大晦日の冬の夜に暖を取るのが大変だった。K-POPグループの躍進やジャニーズ勢の気概に気圧(けお)される“EXILE魂”ではなかろうに。