そして、内心では黙秘権否定派のはずの照井は、肯定派として「被告人に法律の知識は必ずしもあるわけではない。だから被告人にも黙秘権という武器を与えるべき。そうでなければ、相手から武器を奪わないと勝てないという、法律家の敗北を意味する」「“黙秘権が行きすぎた加害者擁護”なんて考え方は、無能な法律家の言い訳にすぎない。われわれは相手に黙秘権を与えたうえで、法にのっとって真実を追及すべきです」との反論を用意。照井が考えた弁論は最後、「強制的に自白を引き出し、万が一にも冤罪を生めば、その人物は犯罪者に等しい立場になります。死刑になった人が出れば、(冤罪を生んだ側が)人殺しにだってなってしまう」からこそ、「黙秘権は加害者擁護だけでなく、法律家を犯罪者にしないためにも必要な権利なのです」と締め括られる。明らかに、横溝から得た知見や、傍聴した裁判で目の当たりにした経験から生まれた言葉だった。“犯罪者は罰せられるべき”という観点以外の、こうした複合的な視点は以前の照井にはなかったものであり、彼女にとって大きなターニングポイントとなっただろう。

 柊木の授業に真っ向から反発してきた照井が、第3話にして変化を見せた。だが、柊木の提案した実務演習を通して生徒たちが何かしら“発見”をし、成長する……というパターンが繰り返されているのが気になるところ。その打破となりそうなのが、ラストに起こった“事件”だ。照井の実務演習をやめるとの宣言。そして年末の予定だった「藍井ゼミ選抜テスト」が来週実施されることになったことだ。司法試験突破の厳しい現実を突きつける展開となりそうだが、藍井が急きょ前倒しをした意図はどこにあるのか。さらに、捜査一課の刑事・風見颯(尾上松也)が追っている過去の事件も気になるところ。一方、ドラマの一服の清涼剤となりそうな、桐矢の天野向日葵(河村花)への恋ごころの行方も楽しみにしたい。検察官に向けて勉強まっしぐらかと思えば、恋にうつつを抜かす、どこか憎めない桐矢のキャラクターは、ロースクールの重苦しい雰囲気にフィクションとしてのエンタメ性を添えている印象がある。「リーガル&ロースクールエンターテインメント」を謳う本作、今夜放送の第4話はどんな展開を見せるだろうか。

■番組情報
月曜ドラマ『女神[テミス]の教室~リーガル青春白書~
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:北川景子、山田裕貴、南沙良、高橋文哉、前田旺志郎、前田拳太郎、河村花、佐藤仁美、宮野真守、小堺一機、尾上松也、及川光博 ほか
脚本:大北はるか、神田優
音楽:武部聡志
主題歌:Vaundy「まぶた」
プロデュース:野田悠介
演出:澤田鎌作、谷村政樹
法律監修:水野智幸
製作・著作:フジテレビジョン
公式サイト:fujitv.co.jp/themis