司法試験の合格を目指している生徒たちは、依然として試験勉強に役に立たない実務演習に乗り気でない。初回同様、合格者を多数生んでいる藍井ゼミ入りのための「アピールのチャンス」になるとして、柊木は生徒たちに意欲的な参加をうながすが、誰よりも合格を渇望しているはずの照井は「この授業は単位さえ取れればいい」と、藍井を前にしてもなびかず、実務演習にはまるでやる気を見せなかった。しかし、桐矢純平(前田旺志郎)とともに黙秘権否定派となった照井は、「加害者の人権」を持ち出した肯定派の主張を耳にしているうちに苛立ちを見せ始め、たまらず机を叩いて立ち上がり、反論。感情を昂らせて、最終的には「そもそも黙秘権は行き過ぎた加害者擁護であり、理不尽を生む誤った権利」「犯罪者には被害者が受けた同等の苦しみか、もしくはそれ以上の罰が与えられるべき」と厳しく言い放つ。否定派は勝利するが、藍井は照井の最後の主張について「きわめて感情的であり、弁論とは言えない」と切り捨てる。いつもクールな照井の激高ぶりには筆者も驚いた。
照井の処罰感情の強さを懸念した柊木は、検察官志望の照井と桐矢を、ロースクール時代の同期である検察官・横溝(宮野真守)の裁判に連れて行く。傍聴後、横溝は照井と桐矢に対し、検察官が勝てば被告人は「犯罪者」の汚名を一生背負うことになると、その責任の重さを伝える。そして横溝は、その責任ある職務を全うできるのは、弁護人がいるからだとする。検察官と弁護士が互いに本気でぶつかり合うからこそ、そこから導き出された“答え”は限りなく真実に近いと考えられるからだ。弁護人を“(検察官にとって)犯罪者を擁護する敵”としてのみ位置付けていたであろう照井に対し、横溝の「検察官と弁護人は、敵であり味方」という考え方は彼女にとって新たな視座となっただろう。
「現役の検察官の言葉なら、私の気持ちが変わるとでも思ったんですか?」「私の気持ちは変わりませんから」と手厳しい言葉を柊木にぶつける照井だったが、横溝の検察官の信念、そして自分に寄り添おうとする桐矢のやさしさに触れ、内面では変化が起こり始めていた。否定派と肯定派が入れ替わる次の実務演習授業のディベートのため、桐矢がひとりで準備を進めているのを見過ごせなくなり、肯定派として論破するための弁論を考案する。