本作の主人公のふたりは、子どもがいる母だ。そしてワインスタインの性暴力に異議を唱えたが打ち砕かれ、映画業界では働けなくなってしまった人物として登場するローラ・マッデンも母である。
ワインスタインの性暴力告発の一部始終を描いたサスペンスでありながら、今作において重要になってくるのは、「子ども」の存在といえるだろう。
つまり、権力によって支配されるような、女性だからといって下に見られるような世界のまま、次世代の子どもたちに託したくはないという意思が、主人公たちを突き動かしているのだ。そこにあるのが、いわゆる“ジャーナリズム精神”だけではないことが伝わったからこそ、多くの人々の心を動かしたに違いない。