アパート経営のメリットとは?

さて、そうした基礎を踏まえてアパート経営のメリットを見ていきましょう。

築古の戸建て投資、新築マンション投資やシェアハウスなど、他の不動産投資とも比べたうえでも、とりわけ「アパート経営ならでは」の魅力といえば、次の3つが挙げられます。

1)立地さえ間違えなければ、半永久的に運用できる土地が手に入る。

東京が経済の中心である限り、新橋や有楽町、銀座などの地価が下がることはまずないでしょう。古くは東京大空襲や関東大震災、最近ならば3.11(東日本大震災)を見ても証明されているとおり、関連企業の株価などが一時的に下がることはあったとしても、地価はさほど変動せず、むしろオリンピックを間近にして上がり続けています。

一方で、記憶に新しいのは液状化を起こした浦安。メイン経済圏へのアクセスだけを見ると、神奈川や埼玉からでも代替が利くためか、こちらは地価が下がりました。また、福島第一原子力発電所の周辺は、地価云々以前に、避難指示地域は年々縮小されているとはいえ、いまだ宿泊不可とされる帰途困難区域があることを忘れてはいけません。

アパート経営は立地選びが9割です。私個人の考えとしては、良い土地が手に入らないのならば、わざわざアパート経営をするうまみはありません。戸建て投資で充分です。

2)修繕がしやすい。

これは戸建て投資とも共通する部分ですが、基本的にアパートというのは木造建築です。従って、天井をぶち抜いてロフトにする、隣り合わせの2部屋の壁を壊して広いLDKにするなど、周辺環境のニーズに合わせた間取り変更が容易に行えます。

少なくとも、鉄筋コンクリート造りのマンションに比べたら、はるかに楽なのです。意外と知られていないことですが、手入れさえすれば木造は十分に長くもつものです。

3)自分の裁量で管理できる。

前述のとおり、マンション投資と違い、一棟すべてを自分の管理下に置けますから、舵取りの判断は自由自在。基本的には好きなように建築・改築できますし、管理が面倒になったら建売業者に売ってしまってもよいでしょう。

(写真=shigemi okano/Shutterstock.com)

アパート経営のデメリットとは?

デメリットのない投資はありません。メリットの1~3に準じて、今度はそれぞれ「アパート経営ならでは」のデメリットを見ていきます。

1)立地選びを間違えると、半永久的に固定資産税がかかる。

例えば、東京が経済圏から外れた場合を考えてみましょう。

首都直下型地震により、河川をさかのぼって堤防を超えた津波が甚大な被害を及ぼす「遡上津波」が街を飲みこみ、液状化が起きて道路は陥没——なんていう壊滅的なダメージが東京を襲ったときに、政府が「じゃあ山梨へ移りましょう。富士山あるし、リニア新幹線も通るし!」なんて言い出したら……。

もちろん、これはトンデモ仮定の話ですが、可能性としてゼロとは言い切れません。文化庁は2021年中に京都への全面移転を完了させるとして、2017年4月より先行移転を開始しています。また、長らく歴史のあった築地市場の豊洲移転も、諸々問題が叫ばれつつ2020年秋を目処に移転を検討すると発表されています(2017年9月17日z時点)。

万が一、土地そのものが「負債」になってしまったら、売るにも売れず、毎年莫大な固定資産税ばかり出ていく……なんていう悲劇も起こり得ます。

そうした意味でも、立地選びは慎重に行う必要があるのです。