58歳独身、貯蓄500万円で繰り上げ受給した場合

58歳の独身で貯蓄500万円の女性の例を考えてみましょう。この女性が60歳で仕事を辞めて年金を繰上げ受給するとしたら、どのような資金繰りになるのでしょうか。

繰上げ受給の年金はいくら受け取れる?

年金を繰上げ受給すると、繰上げた月数に0.4%を乗じた減額率で年金額が計算されます。60歳から受け取る場合の減額率は24%で、65歳からの月額が7万円の人なら5万3,200円に減ってしまい、減額された年金額は一生涯変わりません。

老後の生活費はいくらかかる?

総務省の『家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)』によると、60歳以上の女性単身世帯の月あたりの消費支出の平均額は14万2,606円でした。そのうち、住居費は1万3,824円です。

女性の単身世帯の持ち家率は60歳以上では50%を超えるため、住居費には家賃が含まれていないと考えたほうがよいでしょう。老後に賃貸住宅で暮らすつもりの人は、家賃分の見積もりも必要です。

年金だけではまかないきれない生活費はいくら?

年金収入と支出から、毎月の収支を見ていくと、国民年金を60歳から受け取る場合の収支は▲9万9,235円、厚生年金と国民年金を60歳から受け取る場合は▲7万7,172円です。

この不足分を500万円の貯蓄から充当すると、国民年金だけならば約4年(50.3ヵ月)、厚生年金と国民年金の両方ならば5年超(64.8ヵ月)で底をつきます。

さまざまなパターンをシミュレーションしてみよう

60歳近くになると、年金をいつから受け取るか、いつまで働くかを真剣に考える人が増えます。まずは、自分の希望するプランを考え、実現可能かシミュレーションしてみましょう。

たとえ実現できない場合でも、優先すべき点と譲れる部分を検討すれば、次善のプランが作れるでしょう。

文・fuelle編集部