●作品あらすじ:世界中で突然発生した毒性のピンク色の雲によって部屋の中に閉じ込められてしまった人々、それは一夜の関係を共にしていた男女、ジョヴァナとヤーゴにとっても同じでした。

10秒間で人を死に至らしめる毒性の雲のため、家から一歩も出られなくなった人々の生活は一変。ジョヴァナは、友人の家から帰れなくなった妹、看護師と閉じ込められた年老いた父、自宅に一人きりの親友…彼らとオンラインで連絡をとりあううち、いつ終わるともしれない監禁生活のなかで、家族や友人の状況が少しずつ悪い方へ傾き始めていることを知ります。

そして見知らぬ他人であったジョヴァナとヤーゴも現実的な役割を果たすことを迫られます。父親になることを望むヤーゴに反対していたジョヴァナでしたが、やがて男の子・リノを出産。以前の生活を知らないリノは、家の中だけの狭い世界で何不自由なく暮らし、父となったヤーゴも新しい生活に適応しています。一方、ジョヴァナの中で生じた歪(ゆが)みは次第に大きくなっていきます……。

ブラジルの新鋭監督がコロナ禍前の2019年に撮影した本作を、宇垣さんはどのように見たのでしょうか?(以下、宇垣美里さんの寄稿です。)