「配給で見ると、『ある男』『月の満ち欠け』『峠 最後のサムライ』は松竹、『ハケンアニメ!』は東映、『シン・ウルトラマン』は東宝の配給。アカデミー賞に投票できる会員は2022年時点で3935名だが、実質的に運営している松竹、東映、東宝、KADOKAWAの社員で1123名と3分の1ほどを占めるため、この4社の作品や作品に出演した役者が受賞する傾向が根強い。ここ数年はその傾向に反して“ガチンコ”で作品が評価されていたが、今回の結果からすると、また後戻りしてしまった印象」(映画業界関係者)
2020年の最優秀作品賞は『新聞記者』で、同作の松坂桃李とシム・ウンギョンが最優秀主演男優・女優賞を受賞。翌21年は『ミッドナイトスワン』が最優秀作品賞、同作の草彅剛が最優秀主演男優賞を受賞。昨年も、米国の『第94回アカデミー賞』において国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』が最優秀作品賞、同作の西島秀俊が最優秀主演男優賞、濱口竜介監督が最優秀監督賞と最優秀脚本賞を受賞と、独立系の作品が評価される流れが続いていたのだ。
「以前、北野武監督が選考方法が不透明であることから、『日本アカデミー賞最優秀賞は松竹、東宝、東映、たまに日活の持ち回り。それ以外がとったことはほとんどない』と批判し物議を醸したが、2019年まではその発言にも納得できる結果だった。この3年で、ようやくそうではなくなったと思っていたのだが……」(映画担当記者)