それはたとえば、子役やテレビプロデューサーといった実際にある仕事だったり、プロの取り巻き(歌姫の周囲にいつもなぜかいて場を盛り上げている人)など実際にはないけどありそうな職業だったりする。日本お正月モード番組倫理協会(テレビのお正月モードの終わりを宣言する協会)の人など、端からありえない仕事だったりもする。
さらには、犬や新種の微生物など、もはや仕事ではないし人間ですらないものにも秋山は扮する。そう考えると、プロの取り巻きなどは現代の妖怪なのかもしれない。秋山がもはやライフワークのように取り組む『クリエイターズ・ファイル』は質・量ともに他に類例のない作品群だが、もっとも近いものをあげるとしたら水木しげるの妖怪図鑑だと思う。
そんなロバート・秋山は先週、テレビのなかでやはりさまざまな人になっていた。19日の『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジテレビ系)では、「雰囲気ことわざ」を添削する秋山さつきなる人物になっていた。18日の『ラヴィット!』(TBS系)では、「グランデ歌手」のジョルナン・ラマになりきり、テノール歌手のごとく朗々と歌い上げていた。
また、18日の『秋山と映画』(テレビ朝日系)では、タイムスリップしてきた織田信長になり、俳優の宮沢氷魚と買い物ロケをしていた。新しい文化をすぐさま吸収する信長。楽器店を訪れCDの音飛びについて理解したりしていた。先週はプレーンな秋山をほとんど見なかった気がする。というか、プレーンな秋山とは。塩味の塩とは、ぐらい難しい問いだ。