◆何もしないときの佇まいや顔が、菅原に成り代わっていた

――改めて映画での藤ヶ谷さんの菅原はいかがでしたか?

何もしないときの佇まいや顔が、菅原に成り代わっていた
『そして僕は途方に暮れる』より
三浦監督「クランクインして3~4日経ったくらいには、もうほとんど菅原になってましたね。細かい見え方などについては指示しましたけど、感情的な部分に関してはもう大丈夫だと思いました。顕著だったのが、セリフを言っているときよりも、何もしないときの佇まいや顔です。そこがもう藤ヶ谷くんじゃなくて、菅原に成り代わっていると感じました」

――特に印象的だったシーンを教えてください。

三浦監督「強烈だったのは、後半の実家での土下座シーンです。あそこは本来ああしたシーンではなくて、もっと間抜けな感じで謝るイメージだったんです。そこを、藤ヶ谷くんが思いを込めて演じてくださった。僕の構想としては、もっとどうしようもない感じで、それを見ている家族たちもどうリアクションしていいのか分からないといったシーンでした。でも、撮影自体もう後半だったのですが、完全に菅原になっている藤ヶ谷くんの芝居を見て、『いいな』と。それでそのまま使いました。僕の意図とは、いい意味で外れたシーンになりました」