資産運用を始めたいけど、何をしたらいいかわからない……そう思っていた30代の会社員、真由さん(仮名)は「ある広告」に出会ってしまいました。

「金利5%」定期預金の広告をおトクと判断

冬のボーナス時期、ある金融機関の前を通ると目に飛び込んできた広告には「50万円以上の預け入れで、定期預金の金利が3ヵ月5%になる」という文言がありました。ただし、50万円の50%以上は投資信託を購入するという条件付きです。

当時、メガバンクの定期預金の年利は0.01%でした。そのため、真由さんは「金利5%はおトク!」と判断したのです。金融機関へ行き、ボーナスのうち60万円を預け入れ、30万円ずつ定期預金と投資信託へ振り分けました。選んだ投資信託は初心者でも上がったり下がったりが比較的わかりやすい日経平均に連動するタイプです。信託報酬(※)を抑えるためにインデックス型を購入するのは決めていました。「やっとおトクに投資デビューできた!」と真由さんは大満足です。

※編注:信託報酬(しんたくほうしゅう)とは、投資信託の運用や管理の対価として信託財産から支払う費用で、運用をする間ずっとかかる手数料の一種です

3ヵ月後、通帳を見てビックリ

契約から3ヵ月後に定期の満期を迎え、通帳を見てみると記載された預金利子は税引き後、2,959円(復興所得税を含まず)になっていました。一方、投資信託の方は3ヵ月で日経平均に大きな動きはなかったはずなのに、なぜか1万円近くマイナスになっていたのです。

驚いた真由さんが下がったタイミングはどこなのか確認すると、なんと購入したタイミングで購入時手数料として30万円の3%である9,000円が差し引かれていました。3,000円の預金金利につられて、結果的に9,000円の手数料を払っていたという悲劇。結局6,000円のマイナスになってしまい、おトクどころか大損してしまったのです。

販売手数料に要注意!

投資信託の購入時手数料(販売手数料とも呼ぶ)は、無料(ノーロード)とする投資信託も増えてきています。しかし、銀行などで販売される投資信託は、購入時手数料がかかるものが多い傾向です。なぜなら、銀行は窓口で投資信託を販売することによって、手数料を得ているからです。真由さんの投資デビューは悔しい思い出となりましたが、投資に「うまい話はない!」ということを肌で感じることができたようです。

文:内村しづ子(ファイナンシャルプランナー)

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