どんなにおもしろい漫才を作っても、それを見てもらう場がなければ、その漫才師は報われません。毎年毎年、「M-1グランプリ」のためにすべての時間を費やして、他のことが手につかない状態になってしまうのも大変ではあります。そして、それに卒業がないと、疲れるのもわかります。

 そこで昨年から始まったのが「G-1グランプリ」。これは結成15年以上の漫才師による関東のみの賞レースで、個人の芸歴でも15年を過ぎていれば参加することができます。決勝に行けばテレビ出演があるとかは現在まだないのですが、決勝はとても盛り上がりました。そして、これが刺激になり、モチベーションにもつながった芸人は多くいたと思います。

 2023年の2月からは、「THE SECOND~漫才トーナメント~」が始まります。こちらは吉本興業主催の賞レースで、参加の時点で結成16年以上の芸人が対象となります。2月に予選が始まり、5月の決勝は東野幸治さんMCでフジテレビのゴールデンタイムで生放送されます。そのため、劇場で徐々に忘れられているベテラン漫才師にとっては、事件レベルの衝撃的な出来事です。

 現代のお笑い事情はどんどん年齢幅が広くなってきており、高年齢化とすら言われることもあります。20年前ぐらいは、30才を過ぎると売れていないのが恥ずかしくてやめなければならないぐらいの周りからの見られ方がありました。しかし、現在は「M-1グランプリ2021」の錦鯉の優勝も後押しとなり、「もうおもしろかったらずっとやってもいいじゃない」と許される空気もあります。