積雪量が比較的少なく、沼地が多い苫小牧には、冬になると自然と氷が張り天然のリンクが出来上がる環境があった。1925年には市内にスケート協会が設立され、1931年には苫小牧市に拠点を構える王子製紙苫小牧工場のアイスホッケー部も誕生している。平昌五輪の女子代表23人のうち、苫小牧出身や同市チーム所属選手は10人もいた。なお、苫小牧市は日本におけるカーリング発祥の地だともされている。同市のアイスホッケー選手が、カナダ遠征の際にその面白さに惹かれて、用具を持ち帰って普及させたという。
興味深いのは、野田氏が作品連載を開始するかもしれないという情報を聞きつけて、苫小牧観光協会が市と協働し、集英社に連携を提案したことだ。集英社側は「連載前に自治体から声がかかったのは初めてだ」と地方メディアの取材に答えている。
地方の魅力は“生のまま”だとなかなかに伝わりにくく、そのモノ・コト・場所の魅力は作家が描くストーリーとして描写されてこそ人々の心に深く刻み込まれる。マンガ作品はその貴重な媒介だ。『スピナマラダ!』は今春の連載再開を目指しているとのこと。野田氏の作品の復活はもちろん、地域ホッケー文化のさらなる飛躍が楽しみだ。