2023年最初の更新となります。みなさま、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

年始に、これまでに書いた記事をざっと見返して分類していました。企画書に関する内容か、試訳についての話か、マインドのことか、それとも……という具合です。というのは、『翻訳家になるための7つのステップ』を発売した時点で基本的なノウハウはお伝えできたと思っていたのですが、細かいことはまだまだあるもので……。応用編として、「これさえ読めばすべてわかる」という、頼れる相棒のような分厚い本に将来的にまとめたいのです。そこからバックキャスティングをして、「その本に足りない内容は何だろう?」と考えていたのですね。

もし、「こういう話はまだ読んでいませんよ」というお声や、「こんな場合はどうすれば?」というご質問などがあれば、こちら(※私の主宰している日本読書療法学会のサイトになります)からお知らせくださいね。

マインドについては比較的よく言及してきたのですが、どれだけ書いてもきっとまだ足りないのだろうなと思います。あらゆる角度から何度もお伝えして、ようやく少し変化をうながせるのではないでしょうか。そこで、今回はメタ認知能力について見ていきましょう。

先日、ヘアメイクアップアーティストの小田切ヒロさんと藤原美智子さんの対談動画を拝見しながら、「なるほど、出版翻訳家の場合と同じだな」と納得したことがあります。それは、「メイクをするっていうのは、メイクだけじゃない」「技術が一番だと思っている方が多いけれど、技術は三の次、四の次」だというお話です。それよりもコミュニケーション能力や場の空気を読む力や人当たりが大切で、その前提があったうえでの技術だというのです。

第33回の出版翻訳家インタビューで越前敏弥さんも、「一緒に仕事をして楽しい人であること。仕事のパートナーとしてどうかということ」の大切さに言及されていました。翻訳力よりも、そちらが重視されるのですね。ともすれば翻訳力を高めることにばかり目がいってしまいますが、それでは一緒に働きたい人ではなくなってしまうかもしれません。