◆心の傷を負い続けていたことがわかる「声」

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 さらには、業界にまかり通っていた隠ぺい構造のみならず、性被害にあった女性たちが、どれほどの心の傷を抱え、それを隠してこれまで生きてこなければならなかったのかが、俳優陣の熱演もあって痛切なまでに伝えられている。

 過去の性被害を話すということ、それ自体がどれだけつらく苦しく、勇気のいることなのか。新聞の記事やニュースでは伝わり切らない、その「声」を聞くことではっきりとわかるのだ。

 同時に、何十年にも渡って権力で彼女たちをねじ伏せ、欲望のままに一方的な搾取をし続けたワインスタインが、醜悪という言葉でも足りないほどの巨悪であることも思い知らされる。それは観る側にも精神的な負担を強いるが、それを含めて「実感」することこそが重要な作品でもあった。