◆何度も何度もトライする取材と交渉

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 告発までの経緯で重くのしかかる問題は、「性被害にあった女性たちが示談に応じている」ことだった。つまり、性被害を証言すれば訴えられるため、声をあげること自体ができない。その他にも、劇中では性被害者を泣き寝入りさせようとする、おぞましい「隠ぺい構造」が明らかになっていく。

 そのため、2人の女性記者は、性被害にあった女性たちやワインスタインの関係者にひたすらにコンタクトを取り続け、性加害者を守る法のシステムの問題にも目を向け、記事にするために正当な手順を踏んでいく。その取材と交渉は「地道」そのもので、障害をひとつひとつクリアーしなければ到底求めるゴールにはたどり着けないし、その中にはとことん向き合ったとしても「無駄骨」に終わってしまいそうな事象もある。

 それでも、彼女たちはひたすらに自分の信じた正しい道を信じ続け、ただただ奔走する。何度も何度もトライしても、まったく前に進めないこともある。だが、その努力がついに実るかもしれない、か細い希望も見つけられる。その「巨大権力に挑む」様は誰が観ても共感と応援ができるだろうし、何より映画として(この題材に対して使う言葉としては不適切とはわかっているが)面白いのだ。