ただ勘違いして欲しくないのは、だからと言って万人受けするネタだと言っているわけでは無い。「いじり」というのは人を選ぶ笑わせ方であり、もし誰も傷つけていなくとも、抜群に面白かったとしても「いじり」というだけで嫌がる人もいる。さらに口調やワード選びも、どうしても攻撃的に見えてしまうので、温和で平和な笑いが好きな人は嫌悪するだろう。

 つまり、ウエストランドさんの漫才は好き嫌いが分かれるネタだということは十分理解しており、平和な漫才でないこともわかっている。そのうえであの漫才は「悪口漫才」かもしれないが決して「誰かを傷つけて笑いを取る漫才」では無いということだ。

 あまりにも当たり前のことなので「そんなのわかってるよ」と言われてしまうかもしれないが、勘違いしている人たちに対して、どうしてもその本質を伝えたくてこのコラムを書かせていただいた。

「M-1グランプリ2022」を制したウエストランドさんは、「いじり」を極めた漫才師であり、歴代のチャンピオンたちとも実力はたがわない、今もっとも日本で面白い漫才師ということだ。

 本当にお笑いは奥が深い。