ハーバード大学出身のお笑い芸人、パックンことパトリック・ハーランさん。大学講師や情報番組のコメンテーターとしてもマルチに大活躍しているパックンは、実は投資歴25年以上という投資のベテラン。

前半のインタビューでは、投資を「お金に踊らされる状態から解放されるための切符」だと語っています。後編では、具体的なパックン流投資術を伝授します。これから投資を始めたい、投資を始めたばかりという人に役に立つアドバイスがいっぱいです。

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人生は冒険! だけど投資は冒険じゃない

――先ごろ出版された本の中で「積立投資」「債権」「不動産」の3つの投資商品に投資していると書かれてますが、その理由を教えてください。

「堅実であることが一番大きいかな。僕、実は、ビビリなんですよ。投資家といえば、リスクが高いけど、儲けも大きい投資を誰よりも早く見つけて、大金をかけてボロ儲けをするというイメージがあるじゃないですか。一歩踏み間違えると、崖っぷちから落ちるような危ないことをしている人。僕はそういう投資は嫌いなんです。人生は冒険だけど、投資ではあまり冒険をしたくありません」

「投資商品については、地価が上がりそうなエリアで稼働率が高い不動産物件を持つとか、電力やガスといったサービスを提供する公益企業の債権や国債を持つとか、株式ファンドやETF(上場投資信託)など長期的に安定するかもしれない商品に目を付けています。それらは、マーケット全体の原理がそう変化せずに、長期的に上がっていくと予想できる価値のあるものなんです。しかも、ほったらかしにしていても安心できるものでもあります」

「お金の育て方は、ある意味ほったらかしでいいんです。お金ばかり面倒をみていられないじゃないですか、もっと好きなことに力を注ぎたいと思いませんか?積立投資なら、自動的に投資をしてくれます。税制の優遇もあるしね。健康保険料も天引きで気づかないうちに払っているでしょ。それと一緒で、いつのまにか天引きされたほうが、毎日のモチベーションに左右されることもなく、細かな作業の手間暇を考えずに自動的に投資できるから楽ですよね」

初めての投資!投資をおすすめするパックン流5つの理由

――初めて投資する人に、パックンが投資をおすすめする理由を教えていただけますか?

「僕が投資する理由は5つあります。1つ目はインフレ対策です。僕が生まれた1970年、日本では100万円あれば数年間暮らせました。でも、52年経った今、それだけでは数カ月しか暮らせませんよね。これからのインフレ率はそこまで激しくないかもしれません。でも、例えば2%のインフレ率でも、30年~40年後にはお金の価値は下がっているはず。インフレに負けないように、堅実な投資を考えるべきだと思うんです」

「2つ目は経済的自由の達成=自由な人生を生きることです。お金に縛られることなく、好きな仕事をしてもいい人生を歩みたいじゃないですか。お金の心配がなければ、新しい仕事にも挑戦できます。いわば投資によって、自分独自のセーフティーネットを作っているようなもの。お金を稼ぐ“お金の元”が自分の資産にあれば、経済活動の自由を感じられます」

「3つ目は社会との関わり方が変わること。不動産や株式、債権を持つことはオーナーになることを意味します。炭酸飲料水メーカーの株を持っていたら、そこの製品を飲んでいる人を見ると、オーナーとしてうれしいですよね。投資したお金は、企業の開発費などになります。社会のために役立っていると考えると、社会とより能動的に関われます」

「4つ目は安心を得ること。投資で十分なお金が得られたら、安心して老後を迎えられるし、安心して家庭を持つことができます。万が一、僕に何かあったらという不安があれば、家族の面倒を見る自信が持てません。それから、節約できる余裕があれば、そのお金を投資して、困っているかもしれない未来の自分にお金を渡すこともできます」

「最後は夢です。僕にとっての夢は、お金を成長させて、それをいつか子どもに、できることなら孫、ひ孫にまで受け継いでもらいたいんです。ひ孫がお金に困ったとき、『ひいおじいちゃんが残してくれたお金があるから安心だね!』って。そんな資金を残せたらうれしいですね。複利の恩恵で、僕が残した資金は100年後にはすごい額になりますよ。宝くじよりずっと堅実で、100年規模の夢なんです」

ほったらかしにする投資とはどんな投資?

――投資をやるからにはやはり勉強は必要ですよね?

「勉強というより、僕の場合は好きでやっています。投資についてあまり難しいことを考えたくない人は、アメリカの代表的な株価指数『S&P500』と連動するようなインデックスファンドや債権ファンドを買えばいいと思います」

「僕は、少しは挑戦したいと思っているので、セクター型のインデックスファンドに投資することもあります。特定のテーマで銘柄を集めた投資信託です。例えば建設関連です。世界にはこれから発展していく国がまだまだたくさんあります。そういった国では建築の大きな需要があります。自然災害が増えているからそれに耐える構造の建物を作らなければいけないし、不幸にも災害で壊されたものは建て直さなければなりません。占いのような予想ではなくて、常識的なことを考えながら投資をしています。」