4位 私ときどきレッサーパンダ

 言わずと知れた世界的なアニメ映画のブランド・ピクサーが、「オタクな女の子たち」をコミカルに、だが誠実に描いた作品だ。例えば、主人公は思春期ならではの妄想イラストを隠れて描いて、それを母親に見られてしまい、さらなる恥ずかしい目に遭わされる、という序盤のシーンは極端なリアクションに笑ってしまうのだが、同時にオタクであれば「その苦しい気持ち、わかる……!」と感情移入できるのではないか。

 そして、作り手は主人公がレッサーパンダに変身するのも、思春期のメタファーであると明言している。親への反抗心や、暴走気味な自意識もレッサーパンダには託されており、はっきりと言葉に出さなくても「生理」も描いていたりもする。オタクな友達たちもとても愛おしく魅力的に描かれており、「あの頃」を懐かしく思いたい大人におすすめなのはもちろん、お子さんと観れば互いに親子関係を良い意味で見つめ直すきっかけにもなるだろう。コロナ禍以降、『ソウルフル・ワールド』と『あの夏のルカ』に続きピクサー作品が劇場で観られなかったことは残念だが、ディズニープラスの配信でもぜひ楽しんでほしい。