パックン流「良い節約と悪い節約」とは
――先ほど、お金の話の中で節約という言葉がありましたが、パックンが考える良い節約や、やめたほうがいい節約とかありますか?
「まずは借金を返すことが節約になります。なかでも僕が“バカな借金”と呼ぶものを即返済すべきです。例えば、クレジットカードの分割払いやリボ払いをしながら、投資するのは本末転倒です。年利15%もの手数料を取られてしまうような借金は、今すぐ返してしまいましょう。節約のためにリボ払いするというなら、それは節約になっていないことを理解すべきです」
「また節約には“悪い節約”があります。例えば、教育費を節約して、必要な教育を受けなかったために、やりたい仕事ができなくなるのはもったいないことです。きちんとした会社に就職したいならスーツ、靴、カバンをちゃんと買って面接を受けに行きましょう。自分の可能性を狭めるような節約は避けてください」
「また自分の健康を害するような節約もしてはダメです。例えば節約のために食費をおさえて栄養を摂取しないと入院しちゃいますよ。そして節約で人生が嫌になったり、がんばる気力を失ってしまったりするようなら、そんな節約では元も子もないのでやめたほうがいいでしょう」
「逆に、極端な節約に若くて元気な人が挑戦するのは、かっこいいと思いますよ。片道15kmを自転車で出勤するとか、ジム代節約のために、その自転車を担いで帰るとかね(笑)。また、若いうちは先輩におごってもらってもぜんぜん構いません。『僕、今、節約中心の生活なので、飲みに行きたいんだけれど、お金がないんです』『いいよ。俺が出すよ』と言ってもらったら、甘えちゃいましょう、先輩にね。出世払いでいいんです、若いんだから」
目指すのは自由な人生を叶える“お金の元持ち”
――パックンにとって投資や貯蓄は人生の中でどういった位置づけにありますか。
「投資をすることは、お金に踊らされる状態から解放されるための切符です。経済的自由という言い方をよくします。たとえば、若いうちにFIRE(Financial Independence, Retire Early)するという生き方もあるよね。仕事から引退して、資産運用から得た不労所得で暮らす。僕も、しようと思えばできなくないけど、そのためには節約も徹底しないといけないし、非常に地味な生活をしなければいけなくなる。それより、安心しながら好きな仕事ができる経済的な基盤を得ることが、経済的自由への切符だと思うんですよね」
「投資で目指す目的地は、僕の場合、お金持ちになることではなく、“お金の元”持ちになることと考えているんです。つまり、お金を生む“元”を持つこと。貯金の残高が増えていくのを見るのもうれしいけど、それより、自分が投資している不動産や株式、債券が1年間で生んだ利益を見るほうに喜びを感じます」
「実は、投資については、僕が芸能活動に打ち込んでいる間、ほったらかしのものが多いんです。それで、年に1回確認するんです。『ほったらかしだったのに、投資金はきちんと働いてくれてたんだね』って。勝手に稼いでくれるんですよ。“お金の元”がね! その働きを見て安心を得るんです。そうすることで、芸能活動みたいな少しリスキーな仕事にも挑戦できるんです」
――もっとお金の話をして、お金について考えることが大切というパックン。後編は、パックンが実践している投資術を公開! 始めて投資する人へのアドバイスもいただきました。必見です。
『無理なく貯めて賢く増やす パックン式 お金の育て方』
定価:1650円(税込)
出版社:朝日新聞出版
著者:パトリック・ハーラン
お金に苦労する環境の中で育ったというパックン。どうしたらこの状況から抜け出せるのかを考えて、見つけたのは「お金の育て方」です。 “誰だって真似できる”という「お金の育て方」の心得やノウハウを一冊の本の中で伝授します。大切なお金を守るためのおすすめの節約法から、無理なくお金を増やす投資法まで。投資家歴25年以上というパックンが自分の体験を交えてお届けします。この本を読めば、必要なお金の知識がばっちり身に付く、金融や投資を学びたい初心者にぴったりの本です。
プロフィール
パトリック・ハーラン(パックン)。1970年11月14日生まれ。アメリカ、コロラド州出身。ハーバード大学を卒業後、来日。英会話講師やモデルの仕事を経て、1997年、お笑いコンビ「パックンマックン」を結成。その後、情報番組などにレギュラー出演するなどし、人気を博した。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任。書籍も多数出版している。