黒柳徹子「(言葉が)わかりますよ馬は!」
23日の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)のゲストは前川清。彼は馬主としても知られる。が、前川いわく、自身の馬は遅いらしい。手塩にかけた馬が初めて走った際、調教師に「牛が走ってんのか?」と言われてショックを受けたこともあるのだとか。そんな前川に黒柳は「おたくの馬は遅いんですか?」と笑いつつ、「『お前は遅いから、速く走るように心がけたほうがいいぜ』って、話しかけてもダメですかね?」と提案。これに前川が「ダメです。言葉はやっぱりわかりませんね」と答えてしまう。黒柳は強く反論する。
「わかりますよ馬は!」
黒柳によれば、馬に話しかける際のコツは「お話するように」である。「動物なんてものは命令しちゃダメですよ。だから馬に『君はホントは速いのに。速く走ったほうがいいよ』って。『走れよ』とかって命令調にしちゃダメ。お話するように」と黒柳。タモリにもなつかないタモリ邸のネコを自分になつかせ、中国から来たオオカミの気を京劇のモノマネで惹き、友だちのカワウソに会いに上野動物園に通い、旭山動物園でシロクマのイワンくんの恋仲を取りもつ。そんな数多の動物とのエピソードをもつ黒柳ならではのトークである。彼女の前で「動物には言葉がわからない」なんて言ってはダメなのだ。これは基礎教養である。
ただ、そんな黒柳にも言葉が通じない動物がいる。サイだ。サイには感情の動きがあまりみられず、徹子をもってしても会話が難しいのだという(『笑っていいとも!』フジテレビ系、2014年3月28日)。若手・中堅の芸人へのいわゆる“塩対応”がバラエティ番組で話題になり、『徹子の部屋』サイドもその芸人と徹子の噛み合わなさを見どころとして押し出している昨今である。が、それはもはや「噛み合わない」という噛み合いだろう。徹子と本当に噛み合わないのはサイである。芸人でもフワちゃんでもさかなクンでもローラでもなく、サイである。『徹子の部屋』のゲストにサイが迎えられた日。我々はそこで初めて真の噛み合わないトークを見ることになる。