テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(12月18~24日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

山田邦子「あ、私、山田邦子です。榮倉奈々だと思ってない?」

 18日の『M-1グランプリ2022』(テレビ朝日系)は、ウエストランドの優勝で幕を閉じた。ファイナリストの漫才はどれも面白かったし、もっと言えば敗者復活からずっと面白かったけれど、個々のネタについてはすでにいろいろな分析がなされているので、今さらもう新しいレビュー記事はウェブに必要ないだろう。「こんな分析をするとウエストランド・井口に『皆目見当違い』と言われるかもしれないが」みたいな前置きやオチは、もうこれ以上見聞きする必要がないだろう。

 その上で、山田邦子について。彼女に関しても、初審査員を務めることが報じられたM-1決勝の1週間ほど前からそれこそ多事争論の状態ではあったのだけれど、1点だけ。

 オープニングの審査員紹介で、「M-1は毎年ご覧になってました?」と今田耕司に話を振られた山田。「ずーっと見てて。今日は(審査員席で)斜めから見るんだなと思って」と話しはじめるも、唐突に「あ、私、山田邦子です」と切り返した。審査員就任が発表されてから散見された「山田邦子って誰?」みたいな一部の世間の反応、それをふまえて笑いどころをつくる感じ。テレビタレントとしての感覚いまだ衰えず、である。

 と同時に、先のコメントに続けて発された「(私のこと) 榮倉奈々だと思ってない?」の絶妙さ。 その固有名詞のチョイスが浮き彫りにする、「山田邦子って誰?」 という反応をそりゃ一部に引き出しもするだろうと思わせる世間との距離感。さらに『水曜日のダウンタウン』(TBS系)での「 しんどい先輩」イジりを持ち出したくだりも含め、 冒頭でのやり取りには2022年の山田邦子がすべて詰まっていて 、 彼女の採点基準を話題にすることに世間が飽きたあとでもそのおかしみはしばらく噛みしめられるべきです。