◆今、悲しい思いをしている人へ

――タイトルの「ありがとう」には、どんな意味があったのでしょうか?

浅野:タイトルは編集者さんに決めていただいたんです。私のインスタグラムを見て「彼氏くんに感謝している部分もあるんだろうな」と思って案を出してくださいました。

私としては最初、「浮気された事実だけを描こう」と思っていました。でも、このタイトルを付けていただいたことで「酷いことをされた」だけではなく「彼との3年間の一部をありのままに描く」というやり方ができたと思います。すごくいい方向に引っ張っていただいたなと思っています。

浅野もね『ありがとう、昨日までの彼。私が婚約者に裏切られるまで』
――この作品を、どんな方に読んでもらいたいですか?

浅野:大事な人に裏切られたり、心の拠り所を失ってどうしたらいいか分からない人に読んでいただきたいです。浮気をした彼氏くんが成敗されるような漫画ではないので、エンタメ性を求める方よりは、八方塞がりで辛い思いをしている方に届くといいなと思います。

私自身、悲しい思いをしていた時は前向きな作品を読むことができなかったんです。読むと余計しんどくなってしまっていました。それよりも「誰かの悲しい体験を読んで共感したい」という気持ちがありました。だから、そういうものを求めている人に読んでいただきたいです。浮気とは別の理由で辛い思いをしている方にも、「悲しみ」の部分で共感していただけるんじゃないかと思います。

――別れた方がいいと分かっていても、恋人と別れられない状態にある方に対して、どんなことを伝えたいですか?

浅野:周囲のアドバイスを聞いて良くなることもあれば後悔が残ることもあるので、やっぱり自分のことは自分で決めた方がいいと思います。苦しいですけど、人に批判されたとしても自分がやりたいようにやった方が悔いが残らないと思います。

【浅野もね】

過去の実体験をもとにSNSでエッセイ漫画を発信。初の著書『ありがとう、昨日までの彼。私が婚約者に裏切られるまで』(KADOKAWA)が発売中。

Instagram:@monet_note_、Twitter:@mone_asano

<取材・文/都田ミツコ 漫画/浅野もね>

【都田ミツコ】

ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。