一方、岸本が経理部に異動させられた際に子会社に出向させられた元番組プロデューサーの村井喬一(岡部たかし)は、大門副総理の娘婿で、秘書を務めている大門亨(迫田孝也)に接近していた。実は村井は報道部にいた時代、亨の内部告発に協力したことがあった。大門の警察庁時代の部下だった亨だが、真面目で正義感が強く、2017年に当時総務大臣だった大門が自分の派閥の議員のレイプ事件をもみ消した際、これを告発しようとしたのだ。村井は、大門が直接もみ消しの指示をしたとの証言を撮り、放送しようとしたが、放送直前に大門が副総理に就任。上層部が急に弱腰になり、亨にも迷いが生まれてしまう。それでも粘っていた村井だったが、急に報道を外され、深夜バラエティ『フライデーボンボン』に飛ばされたのだった。

 村井は大門に因縁があったのだ。『フライデーボンボン』で浅川と岸本による「八頭尾山連続殺人事件」の調査報道を流させたのは、大門副総理が報道部に圧力をかけていたことを知っていたからだったが、強行突破してしまったことで子会社に出向させられた。ふたたび亨に接触したのは、村井なりの意趣返しの意味もあるのだろう。村井は、岸本と亨を引き合わせ、岸本にすべてを打ち明けたあと、証言VTRを岸本に渡す。村井は亨に「若いからこそ書けるんですよ。気力と体力があって。かつバカじゃないとできやしません、こんな仕事」と説明していた。「一生にあるかねぇかのでかいスクープ」を、岸本になら託せると思ったのだ。

 自責の念があった亨は大門の秘書を辞め、離婚し、今度こそ告発する覚悟を決めていた。岸本は「週刊潮流」に持ち込むが、佐伯は慎重に進めろと言う。焦る岸本だが、「これは裏を取らなきゃだめだ」「これは正真正銘の真実として書かなきゃいけない。権力っていうのは瞬殺しかないんだよ。いかに一撃で倒すかだ。もたもたしてたら反撃ぶっ食らう」と佐伯は“戦い方”を説き、岸本はレイプ被害者の遺族から証言を取りに動くことに。だが、その間に亨は帰らぬ人となってしまった。

 村井は亨の葬式に向かい、大洋テレビの元エース記者で、大門に可愛がられている斎藤正一(鈴木亮平)がマスコミに遺族を映すなと注意しているのを見て、「ほんとは病死じゃなくて自殺だから? てかもっと、ほんとは自殺じゃなくて他殺だから?」などと揺さぶりをかけ、「引き返すなら今じゃないかな。でないとこの先はもう……」と言ってヘラヘラした態度をやめ、斎藤を睨みつけながら「戻ってこれねえぞ」と忠告する。その後、知り合いの記者から大門のコメントが取れたと聞き、音声を聞かせてもらうも、「彼の誠実さにはどれだけ助けられてきたかわからない」などと白々しく語る大門の言葉に、ついに村井の怒りが爆発。記者のICレコーダーを踏みつけて壊したあと、生放送直後の『ニュース8』のスタジオにいきなり現れ「何が報道だ!」と叫びながら暴れ始めるのだった。