◆警察が記録していた“修羅場”の状況
――「彼氏くんの婚約者」を名乗る女性から電話があった時、浅野さんはどんなことを考えたのでしょうか。
浅野:もちろん驚いたのですが、電話をしてきた女性が彼氏くんとどういう関係にあるのかすぐに分かってしまったんです。だからすごく冷静に「どうやって彼氏くんに白状させようか」「これから先どうしよう」と考えているところがありました。
――そこから彼氏くんとのやり取りの末に、浅野さんは自殺未遂をしてしまいます。なぜそこまでの行動に至ってしまったのでしょうか。
浅野:自分では記憶がなくて、後から警察の開示資料をもらって、通報した時の音声の書き起こしを読みました。そこにあったことしか私には分からないんです。
記録によると、彼氏くんがスマホで通報して、その電話口で私が「殺される」と叫んでいたらしいです。おそらく彼氏くんの言葉がショックで衝動的に飛び降りようとしたのを取り押さえられて、そう叫んだのが警察の方に聞こえたのだと思います。
――それまでにも、恋人と修羅場になったり衝動的に危険な行動を取ったことはあったのでしょうか?
浅野:そういうことはしたことがなかったです。浮気などの男女間のトラブルを経験したのも初めてでした。
◆彼は「浮気の仕方」が上手な人だった
――浅野さんは彼に対して疑いを感じたことはあったのでしょうか? 例えば出会った頃に、彼の振る舞いに違和感を持ったことはありましたか?
浅野:彼の普段の行動に不信感を持った全くなかったし、「スマホをチェックしよう」と考えたことも一切ありませんでした。
彼氏くんと出会った時の第一印象は「苦手」だったんですけど、それは「魅力的だけどきっと手に入らない」と思ったから、先回りして苦手だと自分に言い聞かせていたのだと思います。だから両思いになれた時はすごく嬉しかったのを覚えています。
彼は浮気の仕方が上手かったので、浮気相手の「みなみ」からの電話が掛かってこなかったらずっと気づかないままだったと思います。それくらい彼氏くんを信頼していました。
――彼氏くんが無職だったことはどう思っていたのでしょうか?
浅野:日本で私と一緒に暮らすために海外での仕事を辞めてから半年程無職だったのですが、就職活動をしていたので不審に思ったことはありませんでした。でも就職活動をしている間に浮気をしていたんです。