◆“天下を取った”かつてない女性芸人・山田邦子
――初の審査員、山田邦子さんの登場はいかがでしたでしょうか?
<1番売れている芸人を指して、“天下を取った”と表現することがあります。俳優や歌手ではなかなか聞かない表現ですが、なぜか芸人は、天下を取っちゃうんです。ひと昔前だと萩本欽一さんやドリフターズ、現代ですと、ダウンタウンがそのイメージになるでしょうか?そのなかで、“女性で唯一天下を取った”と言われているのが、山田邦子さんです。
若い人には馴染みは薄いかもしれません。しかし、80年代ではまさに天下無双(むそう)。テレビをつければいつも“邦ちゃん”がそこにいて、雑誌の好感度ランキングでは常にトップを維持していました。
上沼恵美子さんが審査員を勇退し、「女性で審査員にふさわしい方はいないか?」と考えたとき、“天下を取った”山田邦子さんの名前が挙がるのは必然のような気もします。また、どうしても審査員に吉本興業の方が多くなってしまうなか、そのしがらみにとらわれない立場であることもよかったのではないでしょうか>(大輪貴史さん 以下山カッコ内同じ)
◆採点はいい意味で番組をザワつかせた
――採点について「邦子さんなりの審査基準がある」派と「ブレすぎ」派に分かれて賛否がありますが…。
<審査に関しては、1番手のカベポスターに84点を付け、「ああ、1組目だから基準として付けたのだな。他の審査員より低い平均値で推移するのかな」と思ったところ、2番手の真空ジェシカに95点!これはさすがにビックリしました。80点台と90点台は、表示される数字の色が違うので、80点台が「低得点」という印象になりやすいですし。
ただ、そのあとを振り返ってみると、邦子さんの採点は、結局カベポスターが最低点、真空ジェシカが最高点と、その間で収まっていました。数字だけで見ると、ブレていたというより、1組目と2組目の幅にインパクトが出ただけのことでした。結果としては、いい意味で序盤に番組をザワつかせ、視聴者の興味のひとつになりました>
――たしかにTwitterでは「山田邦子」が番組放送中ずっとトレンド入りするなど話題でした。
<邦子さんの真意や審査基準は、もちろん私にはわかりません。技術や漫才文化にとらわれず、素直に「面白い!」と思えたコンビに高得点を付けたのかな、という印象です。
さまざまな審査の考え方があることに7人いる意味がありますし、天下を取った“邦ちゃん”に「面白い」と思わせることができるなんて、そんな光栄なことはありません。
途中、M-1グランプリ創設者の紳助さんに「今朝メールしました」というお話がはさまったのは、審査員としての覚悟や想いを感じましたし、ひょうきん族を見ていた世代としては嬉しかったですね>