◆博多大吉がヨネダ2000に「説明はいらなかったかな」

――ダメ出しを受けて萎縮(いしゅく)してしまうことはありがちですよね。このような伝わるか否かをどこまで気にするかのバランスは難しいところです。

<そこまでの例ではありませんが、ヨネダ2000の審査の際に、博多大吉さんから「KENZOさんの説明はいらなかったかな」とありました。ヨネダ2000が、本当に補足でそのセリフを入れたのか、リズム的に入れようと思ったのか、その真意はわかりませんが、大吉さんとしては「もっと説明をすっ飛ばしてもいい」と思ったのでしょう>

――大吉さんが「もうDA PUMPって分かっているのに、高齢者に気を使われた感じもあって」と自身ら審査員への配慮を引き合いに笑いを取りつつ「そんなこと気にせずに突っ走ってほしかったな。ヨネダ2000はもっと突き進んだほうがいい!」とアドバイスされてました。先程の萎縮させるダメ出しとは逆に、芸人を伸ばす助言ですね。

M-1_2022_8番手_ヨネダ2000 ©M-1グランプリ事務局
ヨネダ2000 ©M-1グランプリ事務局
<理想を言えば「知らないけどなんだか面白い」が発生するようにするべきなんです。「意味がわからないけど、あの芸人さんが言っているんだから、面白いはずだ!」と思わせる力。

私が子どものころ、コロッケさんの美川憲一さんのモノマネで大笑いしていました。しかし、当時小学生の私は美川憲一さんを知りませんでした。でもなんだか可笑しかった。

お笑いって、それでいいと思うんです。むしろ、お笑いで知ることがあってもいいじゃないですか。若手芸人のネタに若いお客さんが爆笑して、それを見て我々おじさんが知ったかぶりして見栄(みえ)張って笑う、くらいの方が、社会が健康な気がします>

――たしかに、知らないスポーツ選手や映画をネタにしているのに笑うことが結構あります。

<若手芸人のみなさんには勇気を持って、「自分の好きなこと」をやっていただきたい!それがスベったのだとしたら、ジェネレーションやカルチャーの問題ではなく、巻き込む力が足りなかっただけのこと。

これは、お笑い以外のさまざまな仕事に共通するのことなのではないでしょうか?>