◆魅力的なところが、またムカつく

――女性にとっては、「こういう男、いるいる」ですよね。

佐野:本当に。でも、演出の大根(仁)さんだけはたぶんわかっていて、大根さんの演出でちょこちょこ増えている斎藤の描写もあるんです。例えば、恵那の部屋に上がりこんで寝ているときに、靴下を脱いでるとか。台本で指定していないけれど、買ってくるビールの感じとか。

――恵那には「もっといい酒飲めよ」と言いながら、買ってくるのはシャンパンやワインじゃなくて、せいぜいちょっといい缶ビール。しかも何本も買ってくる。ストックしといて気が向いたらまた来るつもりなんだなというのが見えて、イラッとしました(笑)。

佐野:そうなんですけど、あやさん自身は「図々しい」とか「嫌なヤツ」だとは思っていないんですよ、多分。すべての人をフラットに見ているところが、あやさんの素晴らしいところで。「誰が見ても嫌なヤツ」って、平面的になっていくじゃないですか。私は嫌なヤツだと思っているんですが、それでいて魅力的なところがまたムカつくんですよね(笑)。

==========

次週は、いよいよ迫る最終回と、佐野さん自身の人生観について聞きます。

<文/田幸和歌子>

【田幸和歌子】

ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など。Twitter:@takowakatendon