◆上品さと憂い、そして凛とした芯の強さを感じさせる

『鎌倉殿の13人』10月16日放送の第39回「穏やかな一日」では、ビブラートをきかせ和歌を詠みあげる姿を披露しています。その美しい声は、予告で映像が出た段階から視聴者を魅了し、その道のプロからもお墨付きをもらったとか。

 それに加え、柿澤さんは美麗なルックスを持ち合わせ、そこはかとない雅な雰囲気があります。祖父、曾祖父ともに人間国宝という“血筋”もあるのでしょうか。上品さと憂い、そして凛とした芯の強さを感じさせます。

 柿澤勇人さんの演じる将軍・実朝は、蹴鞠(けまり)や和歌などの才能はもとより、政治手腕もありながら、義時や政子に翻弄され、悲劇の死を迎えた人物。そんな彼の演じ手として柿澤さんは見事にハマっています。

 なぜこれほどまで、実朝役に柿澤さんが合っているのか、彼の構成要素をひもといていくと、『鎌倉殿の13人』には、彼のような「ミュージカルスター」や、「二世・三世である」役者さんが不思議と多いことに気づきます。

◆『鎌倉殿』を盛り上げるミュージカル俳優たち

 声優界やお笑い界など、個性的な役者が各界からこぞって結集している『鎌倉殿の13人』ですが、なかでも際立って多いのが、柿澤さんをはじめとするミュージカルで名を上げている俳優さんたちです。

 柿澤さんの他にも、新納慎也(阿野全成役)さん、宮澤エマ(全成の妻・実衣役)さん、シルビア・グラブ(藤原兼子役)さん、栗原英雄(大江広元役)さんも多くのミュージカルに出演してきた役者さんです。

新納慎也
画像:新納慎也オフィシャルサイトより 他、源仲章役の生田斗真さんや三浦義村役の山本耕史さんなど、ミュージカル出演経験を持つ人を含めたらキリがないほどです。

◆暗い雰囲気の中でも華やかさで目を惹く

 時代劇とミュージカル俳優。一見、ちぐはぐなようにも見えますが、現代から800年以上も遠く離れた時代が舞台だけに、彼らの美しく凛として浮世離れした容貌は、当時のリアリティやダークな雰囲気を表現した暗い画面にもとても映えます。

 時代劇の地味で陰鬱(いんうつ)とした中に登場する彼らの姿は、華を感じさせ、同じような装束や鎧、袈裟(けさ)が揃う中でも目を惹き、長く見ていても苦痛になりません。そういう部分が多く起用される理由なのでしょう。