出版翻訳したいと思って努力をしてきて、実際に出版できる人とできない人がいます。そこには、どんな違いがあるのでしょうか?
出版にはタイミングや運もありますので、いくら企画書がよくできていて翻訳のレベルが高くても、出版できるとは限りません。練られていない企画書で、翻訳もいまいちでも、出版社の開拓したい路線に当てはまったり、編集者さんの興味と重なったりして、企画が通ってしまうこともあるでしょう。
そんな要素も加味して考えた時、出版できる人とできない人の大きな違いのひとつは、ものの考え方だと思うのです。企画を持ち込んで「無理です」と編集者さんから言われた場合に、「そんなはずはない」「どこかに突破口があるはず」と思えるかどうかが明暗を分けるのではないでしょうか。
「無理です」と言われると、ほとんどの人は「無理なのか……」と落ち込んでしまいます。たいていは企画と出版社のマッチングの問題にすぎないのに、企画自体がどこの出版社にも受け容れてもらえないと捉えてしまうのです。さらに、「企画を否定された」=「自分を否定された」と思い、「やっぱり自分はダメなんだ」と自己否定モードになってしまいます。
だけど「そんなはずはない」「どこかに突破口があるはず」と思える人は、「何が原因で断っているんだろう? 何をどう変えればいい?」「これが無理でもこっちならどう?」という具合に、うまくいく方法を見つけ出すことができるのです。
ある著者さんは、企画書を出版社に送ってもまったく返事がもらえずにいました。そこで、「美人作家」という肩書をつけて企画書を送ったところ、すぐに編集者さんからご連絡があり、会うことができたそうです。ご本人は美貌に自信があるというよりもトークに自信があるタイプだったので、会うことができればトーク力で企画を通せると見込んでいたとか。そんな裏技でも、実際にそれで出版に結びつけることができたのですから、何でも試してみるものですね。
「美人翻訳家」「イケメン翻訳家」の肩書で反応があるとは保証できませんが……少なくともキワモノとしては認知していただけるでしょう(笑)。学術書など、まじめさをアピールしたい分野ではマイナスに作用しかねませんが、自己啓発書など、目新しいものや変わったものを肯定的に捉える分野なら、仕事をつかむきっかけになるかもしれません。