スローライフという言葉がよく聞かれるようになりました。スローライフ=田舎暮らしというイメージをなんとなく持っている人も多いのではないでしょうか。理想のスローライフを実現するにはどのようなことが必要か解説します。

スローライフとは?

スローライフを実現したい!理想のスローライフを実現できる人の特徴5選
(画像=『移住したい』より引用)

「スローライフ」は、実は日本独自の和製英語であり、ずばり対応する日本語というものはありません。では、スローライフという言葉で表される生活とはどのようなものでしょうか。

時間にゆとりをもつ生活

スローライフとは、時間に追われずに、ゆとりをもって暮らすライフスタイルを指して使われます。効率ばかりを求めるのではなく、日々を丁寧に、自分らしく生きがいをもって人生を送ろうという考え方です。
例えば、幅広い世代に人気のゲームソフト「どうぶつの森」シリーズは、気ままにゆったり過ごせる世界観が「スローライフ」というキーワードでしばしば言い表されます。

スローライフという言葉は2000年代初頭から広く使われるようになりました。スローライフは前述したとおり日本独自の概念ですが、一説にはイタリアで始まった「スローフード運動」を起源とすると言われます。スローフード運動は、ファストフードの台頭に反発し、伝統食や持続的農業を守ろうとする活動でした。
この考え方を、食だけではなく働き方や居住環境といった生活全般に広げ、効率化や利益重視から、生きがいや暮らしを大切にする考え方へと転換しようという発想がスローライフです。

近年では、スローライフの考え方を個々のライフスタイルから町づくりへ活用する取り組みも見られます。
2003年2月、静岡県掛川市は「スローライフシティ宣言」を行い、「大量生産・大量消費の急ぐ社会から、ものと心を大切に、急がない社会に移行」を掲げました。同年には「スローライフまちづくり全国都市会議(スローライフサミット)」も発足しています。
これらの取り組みでは、健康、伝統・文化、自然環境保護、循環型農業や地産地消など多面的なアプローチでまちづくりが進められています。

なお、しばしばスローライフと並べて使われる言葉に「ロハス(LOHAS)」があります。「Lifestyles of health and sustainability」の略で、直訳すると「健康で持続可能なライフスタイル」となります。
物質的な豊かさや効率だけにとらわれないライフスタイルという点で、スローライフとロハスは共通していると言えるでしょう。

スローライフが田舎暮らしとは限らない

スローライフと聞くと、田舎でゆったりと暮らすことと思いがちですが、スローライフは単に都会か田舎かという居住地によって決まるものではありません。前項で述べたとおり、スローライフとはゆとりをもって自分らしく人生を楽しもうという、いわば価値観の実践を指すものだからです。
たとえ都会暮らしでも、心構えや工夫によって時間に追われない生き方は実現できます。

たしかに、自然や季節の移ろいを感じとりやすいなど、田舎のほうがスローライフを実現しやすい面があることは事実でしょう。ですが、都会から田舎へと移住したからといって、それだけではスローライフを叶えたとは言えないのです。

それどころか、憧れだった田舎暮らしを始めたのに、スローライフとはほど遠い……という感想もしばしば聞かれます。田舎での生活は意外なほどに忙しかったり制約があったりします。その心構えをせずに、田舎暮らし=スローライフというイメージだけで安易に移住すると、後悔することになりかねません。