◆時代や場所とともに変化するギャル
――藍原さんがギャルになったきっかけについて教えてください。
ギャルになったのは中学2~3年生の頃でした。私が小学生だった30年ほど前にギャルが出始め、ルーズソックスや当時の女子高生を知りました。テレビでは、90年代に流行したディスコ、ジュリアナ東京が取り上げられていて、派手な世界に憧れを抱いていたんだと思います。
自分が成長すると同時に、世の中でもギャルが確立されていき『egg』などのギャル雑誌が創刊されるようになりました。当時私が過ごしていた時代は、ギャルの全盛期だったこともあり、身の回りで触れていくうちにその世界に入っていきました。
――ギャルと聞くとなんとなく派手なイメージがあるのですが、そのなかでもタイプがあったりするのでしょうか?
服装やメイクにも違いがあり、私の頃は主に3種類ありました。定番だったのは、浜崎あゆみのような色気がある「白ギャル」で、金髪のショートヘアに薄いカラコン、デコレーションネイルが流行っていました。2つ目は「ネオギャル」と呼ばれる海外セレブ風ファッションが特徴的なギャルです。今でいう港区女子のイメージに近いかもしれません。
最後に、ストリート系やカジュアルファッションを好むBガール系ギャルです。『SHOOP』というブランドの洋服が人気で、口紅で口をくっきり型取り、3、4枚のつけまつ毛を重ねて付け、はっきりとしたメイクをします。アメリカのミュージックビデオに出てくるような見た目が特徴です。
――ヤマンバギャルは別枠なのでしょうか?
ヤマンバの登場は1998年頃なので、私よりも少し下の世代のギャルに多く見られました。多くの人がイメージするような焼けた肌、白系の口紅、厚底ブーツ、パンダのような目元のメイクをしている人たちですね。
ギャルは、エリアや時代によって系統が異なります。渋谷がギャルの聖地とされていましたが、原宿に行くと『Xgirl』や『キャンディーストリッパー』などのブランドが人気で、いわゆる雑誌『Zipper』のような個性派が多い印象でした。
◆令和ギャルとの共通点も
――さまざまな種類のギャルが存在するなか、共通していることはなんでしょうか?
ポジティブマインドをもっていることです。批判されることを恐れず、自分たちの強みに変えるパワーや包容力があるギャルが多いです。このギャルのもつ強みは、KALEKALEのお客さまにも通じることで、大人になったギャルたちにも自分の人生を楽しみ続けてほしいと願っています。
――内面的な側面で共通点がみられるのは興味深いです。
中身がギャルの見た目に影響していることもあると思います。私もそうだったのですが、学生時代に下手だけど雑誌を見てメイクしてみたり。好奇心旺盛で、新しいものを取り入れることが好きな人が多い気がします。
今思うと、若い頃からメイクや美容、ファッションに興味をもち始めるギャルは多く、みなさん歳を重ねるうちにきれいになっていきます。青山や代官山でおしゃれな同世代のお姉さんを見かけると、元ギャルだったのかなと思うこともあります(笑)。
――最近では「令和ギャル」という言葉を耳にしますが、現代のギャルと全盛期のギャルで違いはありますか?
今のギャルは、原宿のラフォーレや渋谷のキャットストリートにあるようなお店に行き、雑誌『NYLON』のような個性的な雰囲気のある人が多い印象です。昔も今も割と趣味嗜好は同じかと思ったのですが、令和ギャルの話を聞くと、時代の流れによって少し違いがあることに気付きました。
今はさまざまな情報が溢れている便利な時代だなと感じます。全盛期はテクノロジーが進化し始めた時代で、ポケベルから携帯になったり、携帯がカラー展開し始めたり、不便な環境のなかで、自分たちで試行錯誤しながらスタイルをつくっていました。