スローライフでの生活に憧れを抱く人も多く、昨今の移住ブームにより田舎で野菜作りなどで生活したい人もいます。しかし田舎暮らしとスローライフは似て非なるものです。今回は、スローライフな人生を送るという事はどういうことかを紹介していきます。
スローライフとは
スローライフとはいったいどういうことでしょうか?
元はファーストフード店の進出に対抗して、イタリア北部から始まった伝統食や持続的農業を守ろうという「スローフード運動」が起源とされています。そこから単に食だけでなく田舎への移住など居住環境や自転車や徒歩の奨励といった交通手段、食育の重視の教育に中心街の活性化といった街づくりなど、生活を取り巻く環境全般の見直しを行う事により、利益・効率重視から暮らしや生きがい尊重へと切り替えようという発想に基づいています。
スローライフの意味
スローライフというと「田舎暮らし」と思う方もいるかと思いますが、実際には少し様式が違います。スローライフとは「時間に追われずに、余裕をもって人生を楽しもうという概念」の事です。
あるいはこの概念に沿った生活様式で「スロー」と「ライフ」を合わせた和製英語です。
スローライフとは「人生をゆったりと楽しもう」という考え方で地域活性化研究所の川島正英が日本の先駆者とされており、ジャーナリストの筑紫哲也と「スローライフ」について模索していました。
そこに掛川市の市長が「スローライフシティー」を公約に掲げたことから注目を集める様になり川島正英が理事長を務め「ゆっくり、ゆったり、心ゆたかに」を掲げるスローライフ・ジャパンが設立され日本全土に広まっていきました。
バブル経済を特徴とする企業、文化、生活全般においてのスピードアップで、効率的ものがよいとされる傾向が強くなっていた中でで欧州の生活のようにゆったりと人生を楽しみたいという考えが広まり人生を楽しみ、生活の質を高めようとするスローライフが定着したのです。
スローライフの魅力や特徴
スローライフの特徴は言葉の通り「ゆったりと穏やかな気持ちで生活する」という思想です。
スピードを重視した高速型のライフスタイルに対して、ゆっくりした暮らしを提案する考え方を生活様式に取り入れた「自分らしさ」が特徴です。
情報文化の現代社会において仕事をするにしても、勉強をするにしても、時間を意識し常に効率よく動くことがよしとされていますがあまりにそこばかりに固執していると精神的につらくなり、鬱などの病気になってしまう可能性もあります。
しかしスローライフを心掛けることによって心に余裕をもって仕事や生活に取り組む事ができるので、心身ともに健康で過ごせるという訳です。スローライフというと「ゆっくりした暮らし」とか「のんびりした暮らし」という事だけでなく「丁寧なくらし」も含まれています。
自分のペースで丁寧にストレスなく生活する事こそが、スローライフの基本であり魅力でもあるのです。ただ単にゆっくりダラダラ過ごすのではなく、丁寧に行う場面ではより丁寧に作業をする事、スローライフとは暮らしに「緩急」をつける事なのです。自分の時間を作り、それを楽しむ事やその為の時間を作る事こそがスローライフの原点であり特長となります。
例えば、仕事を調整してゆっくりするための時間を作り、そしてその時間をゆっくり使うということがスローライフであってそのゆっくりする時間がガーデニングやコーヒーを淹れる時間だけでなく、お酒を飲む時間や音楽を聴く時間、映画を見る時間にしても良いのです。
スローライフが取り入れられてからまだ20年程度しかたっていない様ですが、日本にはかねてからスローライフを体現することわざがあるのです。それが「急がば回れ」です。スローライフは決して真新しい考え方ではなく、かなてから日本文化に根付いた考え方なのです。
スローライフのメリットデメリットって?
スローライフを行っていく場合には、必ずしもメリットだけではありません。スローライフという考え方が広まった切っ掛けは技術の進化に伴う過剰な効率化や情報化、消費社会に疑問を抱く人が多くなったからです。
一方で、便利さや物質的な豊かさというものは人間の本質的な欲求でもあるので、どうしても現代社会との歪みが出てきてしまうと考えた方がよいでしょう。ここではスローライフにおけるメリットとデメリットを紹介していきます。
メリット
スローライフにおけるメリットが数多くあります。まず「ストレスが減ること」です。
現代社会において、通常の会社員として働いた経験がある方なら多くの場合、締め切りの仕事の内容などを自分で決めることは少ないのではないでしょうか。しかしスローライフを取り入れるという事は「自分らしく仕事をする」という事でもあります。
他人のペースではなく自分のペースで行うことで無駄なストレスからは解放されます。そして人付き合いも多くなってくる場合においてもスローライフは有効です。時間に余裕ができ、自分のために時間を使えるようにし、のんびりした毎日を過ごすことで、ストレスフリーな環境や生活が実現できます。
2つ目のメリットは生活が充実するという事です。スローライフを取り入れて時間に余裕が出来ると新しいことにチャレンジしたり、環境を変えて新しい人間関係を構築することも可能になってきます。時間を有効活用することこそがスローライフの本質ですので、自分にとって大切な事にこそ時間と手間暇をかけて取り組む様になっていきます。
そんな中で、自分の趣味や特技を一層磨き新しいことへのチャレンジも可能になっていきます。そんな中で新しい出会いなど、人間関係も一新されることでしょう。人生において新鮮さを維持できる事は生活面での充実につながっていくことでしょう。
そして最大のメリットと言っても良いのが「健康になる」という事です。
自分に目を向けて生活をしていくことでストレスが改善されるだけでなく、睡眠の質も向上し規則正しい生活が送れる様になります。
誰かの時間軸に合わせる生活を送ると、どうしても心や体に負荷がかかってしまいます。しかしスローライフを取り入れていくことによって心身ともに健康になっていくことでしょう。
仕事やプライベートの予定が詰まった毎日だと、余裕がなくなってしまい生活も不規則になってしまガチですが、食事や睡眠など「自分の為」に生活するスローライフを取り入れることは余裕が生まれて体を休める時間も確保できますし、心の負担も軽くなります。
さらに自然の中でスローライフを送ればさらに健康になり、充実した人生を送ることが可能です。この様に、スローライフを送る事で人生を豊かにし健康な心身を手に入れられるという大きなメリットが含まれています。
デメリット
スローライフを送る上でのデメリットはないのでしょうか?残念ながら、少なからずあります。
まずは収入面での不安があります。スローライフを送るという事は、ある程度は社会との関係性を疎遠にしなくてはなりません。会社務めの場合は多くが1週間の内、5日は最低でも働かなければならず、1日8時間程度の拘束を余儀なくされます。
しかしスローライフを送る場合は、自身の体調やメンタルに応じて働ける時間が大きく変わってきます。その為、スローライフを送りながらサラリーマンを続けるという事はかなり難しいです。
その結果、どうしてもフリーランスや自営の仕事となるので収入面での不安は付きまとってしまいます。いかにして収入面の安定性を保つかが重要になってきます。
そして人間関係においてもデメリットが発生する場合があります。スローライフはあくまで自分軸での生活を重要視します。その為、飲み会や遊びの誘いがあってもゆっくりしたい場合は断ることが多いです。プライベートな付き合いにおいて「付き合いの悪いヤツ」というレッテルを張られる可能性もある事でしょう。
そして一番あり得るのが「ダラダラしてしまう」という事です。
実はスローライフを送る上で、人生における優劣が決まっていない場合に陥りがちですが、どうしてもただゆっくりと何もしないだけの生活になってしまう可能性もあります。
何が優先か分からないのでただ単純に仕事をせず、人間関係も希薄で家に引きこもっているだけの生活は決してスローライフとは言えません。あくまで自分の生活や人生を豊かにする事がスローライフであって、ダラダラすることが重要ではないのです。またダラダラした生活では健康面にも不安がありますので、この部分をはき違えると大変なことになります。
他にも家族にスローライフの理解が無い場合は、関係性の悪化が懸念されますし、スローライフを他人に押しつけるという行為も不評を買います。
いずれにせよスローライフを行う場合でも、最低限のマナーと社会生活は頭に入れておいた方が良いでしょう。