そもそも、転売ヤーは売れる商品をどこから見つけてくるのだろう?
「結構簡単で、インターネットにそういう情報が普通に落ちてるんですよ。転売情報ブログみたいなものに『これ売れるぜ』みたいなことが書いてあって」(タイヘイさん)
筆者もそれらしきサイトを見つけたが、そこにはカッコいい限定スニーカーやトレーディングカードの情報が親切に紹介されていた。これを買って、高く出品すれば儲かるというわけだ。
複雑なのは、この情報を頼りに転売する転売ヤーより、ブログで情報を発信するブロガーのほうが儲けているという事実である。
「僕、転売情報のブログをやってるんですけど、これで広告収入が入ってくるんです。これ(転売ブログ)をやりたい人はドンドン増えています。その中で売れる商品、転売入門情報みたいなものを載せるだけでブログのレビューが稼げてしまうので。すごい人だと、それだけで暮らせちゃう人もいる。情報を売ったほうが、正直儲かります」(ヒロシさん)
アフィリエイトに転売ヤーか……。在庫を抱えるのもリスクだから、情報商材へ転向するわけだ。まあ、情報商材屋こそ1番タチが悪いイメージなのだけど。
じゃあ、そのブロガーはどこから商品の情報を得ているのか?
「自分はいろいろな転売コミュニティに入っているので、そこで情報はいただいてます。LINEでオープンチャットという誰でも出入りできるグループがありますが、その中に入って自分が何か情報を提供すると、そこの参加者からも情報をいただけます。トレードし合う」(ヒロシさん)
転売ヤーの巣窟となるコミュニティが存在するのだ。転売ヤーも群れなければいけない時代か……。
ユーリさんはコミュニティに入るのではなく、最初から“転売コンサル”に教えを請うていたらしい。
ユーリ 「(転売の)ノウハウを、お金を払って『教えてください』っていうので」
山里 「お金払ったんだ、ユーリさん」
ユーリ 「払いました。30万円ぐらいです」
「これは売れる!」というブランドから、本物かどうかを見分けるポイントまで、しっかり教わるそう。つまり、せどりのやり方を教えている情報商材屋である。商材屋のカモにされているのだから、実は彼女自身も情弱なのでは……?
「自分は20万払っても、資料渡されて終わりでした」(ヒロシさん)
こっちにもカモがいた! みんな、情報商材を買った人たちだったのか。転売コンサルがいるだなんて、ますます転売業界は闇が深い。
そもそも、この人たちはなぜ転売ヤーを始めたのだろう?
「私は転売したかったというより、起業したかったというか。私、田舎の長女で生まれて、親に昔から『女の子なんだから結婚して、家に入って、婿さん連れてきなさい』みたいな。そういうのマジ無理! って思って。大学生になったら、与沢翼さんっていう方がビジネスでめちゃめちゃ稼いでるのをテレビで見て、『こんなふうに私も自分の力で稼いで、ビジネスをして生きていく』と思って、転売にたどり着きました」(ユーリさん)
「転売で起業する」という目標を、彼女は持っていたわけだ。その後、件の転売コンサルと知り合ったユーリさん。無事、起業できたのだろうか?
「そうですね。始め、『3カ月で月に10万円稼ぎましょう』という目標があって、それは達成したんですよ。その後で、お客さんから30万円いただいて、自分がコンサルをする側に回るようにしたんです。Twitterで『稼ぎたい』ってつぶやいてる人とか、お金に関するインフルエンサーをフォローしている人に対して、ローラー作戦でDMを送りまくって(笑)。それで、年間20人ぐらいは集まって、最終的には独立したんですよ」(ユーリさん)
それって、ねずみ講なのでは……。彼女は詐欺師の片棒を担いでいないだろうか? ねずみ講に騙される情弱の行く末は転売ヤーだと思うと、なんとも言えないヤバさを感じてしまう。
続いて、ヒロシさんが転売ヤーになったきっかけは以下だ。
「自分、他にお金を稼ぐ能力がないので転売をやってるんです。IT系とか福祉系とかいろんな仕事をやってきたんですけど、基本的に能力がない人間だとどうしてもブラックになりがちなんですよね。で、自分は結婚していて子ども3人いるんですけど。みんな食わせなきゃいけないし、(転売は)自分1人経営なんで子どもたちとの時間も融通が効くんで」(ヒロシさん)
家族のためだから転売ヤーをやっていてもいいですよ……と、筆者はとても言えない。というか、その子どもたちにとっても「親が転売ヤー」という事実はすごく嫌だと思うのだけど。
最後は、タイヘイさんが転売ヤーになった理由について。
「(弁護士の)仕事でもよく聞くフレーズですけど、遊ぶ金欲しさですかね」(タイヘイさん)
潔いが、このタイヘイさんから1番ヤバさを感じてしまう。