ものと出会った瞬間を買う

弓子さんは、今では服とアクセサリーに加えて、ハイブランドのバッグ、最新のパソコンのリースで月額2万5000円を払っています。

マンション購入の際は「毎月の家賃がロスになる」が動機になったという話でした。シェアやリースでお金を払うことは、ムダとは考えないのでしょうか?

「住まいとの違いは、その『もの』が長い間使えるかということだと思います」と弓子さん。

例えば60万円の高級バッグは、買うときは満足感が高くても、それ1つだけを一生、ずっと持つ人は少ないでしょう。そのバッグに感じたトキメキも時とともに減少してきます。

私たちは案外、モノを買っているのではなく、モノを買った瞬間の高揚感を買っているのかもしれない。であれば、月額7000円といったお金を払って「モノと出会う回数」を増やし、満足感を得るほうがいい、と弓子さんは考えます。

パソコンも、月5000円程度でリースして定期的に替えることができれば、常に最新の機能が使えます。ですから、買うよりは結果的に「高あがり」になったとしても、リースのほうがいいという考えです。

大人気のBAO BAO ISSEY MIYAKE/ LUCENT BASIC TOTE。「借りる」からこそ色で冒険できます(写真=筆者撮影)

プロによるアドバイスも得難いサービス

弓子さんがシェアリングサービスを利用している理由の一つに、一部のサービスが行っている「プロの見立て」という要素もあります。

「服やアクセサリーをスタイリストが見立ててくれるサービスには、それだけで価値があると思っています。自分では挑戦したことがないタイプの服が届き、それが意外に似合ったときの喜びや、こんな風に合わせるといいというアドバイスをいただいて、やってみたらうまくいったなど、活かしかたによって得るものは大きいですよ」

弓子さんが月額2万5000円で買っているのは、そのものと出会った瞬間の喜びであり、専門家のアドバイスでもあるのです。

パソコンも、月5000円程度でリースするサービスを利用(写真=筆者撮影)

所有とシェア。メリハリのある暮らし

「私は新卒で入った会社で、お給料がとてもよかったんです。理由は月 120時間も残業していたからです」と弓子さん。

「夜中の12時まで残業して、朝7時半に会社に行かなければならないような生活でした 。 人がどんどん辞め、私のような元気なメンバーにしわ寄せが来たのです」

ストレス解消は週末のショッピング。しかも月曜日の会話は「週末、何を買いました?」で始まり、「5000円のストッキング買っちゃった」「やっちゃいましたね~」のようなやりとりも、よくあったとか。

そんな「物欲まみれ」の生活から、30代半ばに「ものがありすぎる」ことにはっと気づいたことで、やがてシェアリングサービスの利用へ。「持たなくても満足できるものは、持たない」という選択は、自然な流れだったと弓子さんは振り返ります。

「今後は、カーシェアを利用して行動範囲を広げたいと思っていますし、高級家具のリースを利用して、部屋の模様替えをするのもいいですね。両方とも、自分にとっては、所有しなくても使えれば満足できるものなので」

一方で、所有して大切にしていきたいものもあります。

「最初のボーナスで買ったロレックスのヨットマスターは、大切なものです。最近は、ヴァン クリーフ&アーペルのスウィート アルハンブラのピアスを定価で買いました。長く身に着けていきたいですね」

(弓子さんへのインタビュー、おわり)

文・阿部祐子(あべゆうこ)/DAILY ANDS

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