洋服やアクセサリーはもちろん、ブランドバッグもPCも。
2017年の日本はありとあらゆるものが「シェア」できます。
都内の外資系企業でPRを担当する弓子さん(42歳、仮名)もシェアリングサービスをよく活用する女性の一人。サービスにかかるお金は月々2万5000円。
「お金がないからシェア」するのではなく、「お金をかけてシェア」する、その意味とは?
現代キャリア女性の「ものを持たないライフスタイル」に迫ってみました。
実家からの引っ越しで「ものの多さ」にがく然
かつて「物欲の塊」だった弓子さんが、初めてシェアリングサービスを利用したのは30代半ばの頃。都内の実家から引っ越しをしたことでした。
「そろそろ実家から出ようと思ってはいたのですが、当時のサラリーでは実家より不便な場所にしか住めないことは明らかで。初期投資にそれほどお金をかけずに一人暮らしする方法を模索していたところ、友人の経営するシェアハウスへお誘いをいただきました」
東急東横線の駅から徒歩5分、部屋は6畳の和室でした。
ところが、いざ引っ越しをする時になって弓子さんは自分の持ちものの量にがく然とします。「靴や服、バッグ、本……目の前に並べてみると、あまりの多さにショックを受けました」
お気に入りだけを残したつもりでも、引越し先の広い収納スペースはいっぱいに。この経験で「自分は予想外にものを持っている。でも、活かしきれているのだろうか」という問題意識が生まれました。
住まいは購入。「持たない」ことに固執はしていない
シェアハウス生活を経て、弓子さんはそのうち、実家近くにマンションを購入しました。
「一番は親の勧めでしたが、同年代の友人たちから『今までいくらの家賃を払い続けてきたのだろう? マンションの頭金くらいになったかも』という話を聞いて、賃貸より分譲のほうがいいのかも、と感じたところもありました」
このことからも、弓子さんが、ものを「絶対に所有する」「絶対に所有したくない」と決めているわけではないことが分かります。
流行りものは借りるに限る
弓子さんはPRという仕事柄、人に見られる立場であり、「自分の見せ方」をよく知っている人たちと働いています。
「まわりの人たちはとてもおしゃれで、ダイヤの一点ものとかではなく、今どきのアクセサリーを身につけています」
でも「もの」本来の価値を考えたとき、流行りものを買うのはちょっともったいない。ですから弓子さんは、ひたすらティファニーのダイヤのピアスをしているといった状態でした。
あるとき、たまたま見ていたニュース番組で、シェアリングサービスの特集を見て興味を持ちました。月およそ7000円、3000円、と手ごろだったこともあり、早速申し込んでみることに。
サービスによって詳細は異なりますが、服やアクセサリーを3点、といった具合に、リクエストに応じてその人に似合いそうなものをプロが選び、定額配送してくれるといったものです。
「選んでもらった服装で会社に行ったら、周りの人から『今年の流行ですよね』と言われました。これはいいなって思ったんです」
自分が持っている定番品とコーディネート
弓子さんは、「これ、いいよ」と周囲に情報を教えたところ、さっそく部下の女性も洋服のシェアリングサービスを始めました。ところが当時はサービス開始直後だったせいか、小柄なその女性に合う服は少なかったようです。
「私は標準体型なので、たくさんの種類から選べました。今は大丈夫だと思うのですが、自分の体型によって、合う、合わないはあるかもしれませんね」
大人の女性に向けては、こんなアドバイスも。
「私が利用しているサービスで届く服は、正直、ちょっとカジュアルなブランドです。それだけではどうかな、と思ったら、手持ちのちょっといいブランドものと合わせてみては。全体が底上げされて見えますし、ほどよく『いまどき』な感じが出ますよ」